投資を始めてしばらく経つと、「配当が入った!」という嬉しい瞬間がありますよね。でも、その配当をただ銀行口座に置いておくだけではもったいないって知っていましたか?
今日は、受け取った配当をさらに投資に回すことで、雪だるま式に資産を増やしていく方法 をお話しします。これを「配当再投資戦略」と呼ぶのですが、実はとても簡単で、投資初心者の方にこそおすすめしたい方法なんです。
読み終わる頃には、「これなら私にもできる!」と思っていただけるはずですよ。
配当再投資って何?なぜ「雪だるま式」なの?
まずは配当のおさらい
配当とは、企業が利益の一部を株主に還元するお金のことです。株式やETFを持っていると、年に1〜4回、このお小遣いのような配当を受け取ることができます。
「再投資」で何が変わる?
通常、配当は現金で受け取って、そのまま銀行口座に貯めておく方が多いと思います。でも、その配当を使って 同じ株式やETFをさらに買い増す ことを「配当再投資」と言います。
すると何が起こるでしょうか?
1年目:100万円投資 → 3万円の配当(3%と仮定) 2年目:103万円分の株を保有 → 3.09万円の配当 3年目:106.09万円分の株を保有 → 3.18万円の配当
このように、配当で買い増した分からも、また配当が生まれるんです。これが 「複利」 の仕組みで、時間が経つほど効果が大きくなる「雪だるま式」の成長なんです。
具体的にどれくらい違うの?シミュレーションで見てみよう
分かりやすい例で比較してみましょう。
条件
- 初期投資:100万円
 - 年間配当利回り:3%
 - 投資期間:20年間
 
パターンA:配当を現金で受け取る場合
- 20年後の投資元本:100万円(変わらず)
 - 受け取った配当の合計:60万円(3万円×20年)
 - 合計資産:160万円
 
パターンB:配当を再投資する場合
- 20年後の投資資産:約181万円
 - 合計資産:181万円
 
その差、なんと21万円!
これが複利の魔法です。同じ投資をしていても、配当を再投資するかしないかで、これだけの差が生まれるんです。
配当再投資が向いている人・向いていない人
こんな人におすすめ
長期投資を考えている人 複利の効果は時間が長いほど大きくなります。10年、20年と長く投資を続ける予定の方には特におすすめです。
安定した収入がある人 配当を生活費に使わなくても大丈夫な方。配当を「お小遣い」ではなく「将来への投資」として使える余裕がある人に向いています。
手間をかけずに投資したい人 一度設定すれば自動的に再投資してくれるので、忙しい方にもぴったりです。
注意が必要な人
短期的にお金が必要な人 配当を生活費の補助として期待している場合は、現金で受け取る方が良いでしょう。
税金の負担を気にする人 配当には税金がかかるので、受け取るたびに税金を支払うことになります。成長株中心の投資の方が税務上有利な場合もあります。
配当再投資の始め方:具体的なステップ
ステップ1:配当を出す株式・ETFを選ぶ
初心者におすすめのETF
高配当ETF
- SPYD(SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF)
 - VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)
 - HDV(iShares コア 米国高配当株ETF)
 
国内の高配当ETF
- 1489(NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信)
 - 1478(iシェアーズ MSCI日本株最小分散ETF)
 
これらのETFは、定期的に配当を出す企業をまとめて買えるので、個別株選びに自信がない初心者の方にもおすすめです。
ステップ2:証券会社の設定を確認
日本の主要証券会社の配当再投資対応
SBI証券 多くの投資信託で「分配金再投資」が選択できます。ETFの場合は手動での再投資が基本です。
楽天証券 投資信託の分配金は自動再投資可能。ETFは手動再投資となります。
マネックス証券 投資信託は自動再投資対応。米国株ETFなども取り扱いが豊富です。
ステップ3:再投資のルールを決める
自動再投資 vs 手動再投資
自動再投資
- メリット:手間がかからない、感情に左右されない
 - デメリット:投資商品が限定される場合がある
 
手動再投資
- メリット:柔軟に投資先を選択できる
 - デメリット:手間がかかる、つい忘れてしまうことも
 
初心者の方は、まず「自動再投資」から始めることをおすすめします。
実践的なポートフォリオ例
バランス重視型(初心者におすすめ)
コア部分(70%)
- 全世界株式インデックスファンド:50%
 - 全世界債券インデックスファンド:20%
 
配当重視部分(30%)
- 高配当ETF:20%
 - 高配当個別株:10%
 
配当が出る部分は全て再投資に回し、長期的な資産成長を目指します。
配当重視型(ある程度慣れた方向け)
高配当株・ETF:60% 成長株・ETF:40%
配当収入を重視しつつ、成長株からの値上がり益も狙うバランス型です。
配当再投資を支えてくれるツール
配当追跡アプリ
MoneyForward ME 日本の代表的な家計簿アプリ。投資部分も管理でき、配当収入の推移を確認できます。
各証券会社の専用アプリ SBI証券、楽天証券などの公式アプリで、保有株の配当予定や受取実績を確認できます。
海外のツール(参考として)
DivTracker 配当の受取予定や年間配当収入の予測ができる専用アプリです。
Yahoo Finance 保有株の配当利回りや配当支払い日を確認できます。
学んでおきたい、おすすめの本
配当投資の基本を学ぶ
『配当バリュー株投資』(日本語版) 高配当株の選び方や、配当の安定性を見極める方法を学べます。
『株式投資の未来』(ジェレミー・シーゲル著) 長期投資における配当の重要性を、データとともに説明してくれる名著です。
複利の力を実感する
『となりの億万長者』 お金持ちがなぜお金持ちになったのか。その多くが「複利の力」を活用していることがわかります。
『バビロンの大富豪』 古代から続くお金の知恵。「得たお金の一部を必ず自分のために働かせる」という配当再投資の原則が学べます。
注意したいポイント・よくある失敗
配当利回りだけで選ばない
「配当利回り8%!」のような高利回り株は魅力的に見えますが、業績が悪化して配当が減る(減配)リスクもあります。配当の持続可能性も重要です。
税金のことも忘れずに
配当には約20%の税金がかかります。NISA口座を活用すれば、年間120万円までは配当も非課税になるので、ぜひ活用してください。
分散を忘れない
高配当株に偏りすぎると、特定のセクター(例:不動産、公益事業など)に集中してしまうことがあります。全体のバランスを考えて投資しましょう。
あなたの配当再投資チェックリスト
年1回の見直し項目
☐ 保有銘柄の配当利回りと安定性をチェック ☐ 配当再投資の設定が正しく動いているか確認 ☐ NISA枠を有効活用できているかチェック ☐ ポートフォリオ全体のバランス確認 ☐ 来年の配当再投資戦略を計画
四半期ごとのチェック項目
☐ 配当の入金を確認 ☐ 再投資が正しく実行されたかチェック ☐ 保有株数の増加を確認 ☐ 年間配当収入の進捗確認
まとめ:小さな一歩が大きな結果に
配当再投資戦略の魅力は、特別な才能や知識がなくても、時間を味方につけて着実に資産を増やせることです。
大切なのは:
- 無理のない金額から始める
 - 長期的な視点を持つ
 - 自動化できる仕組みを作る
 - 定期的に見直しをする
 
最初は「月に数千円の配当」かもしれません。でも、それを再投資し続けることで、5年後、10年後には思いもしなかった金額に成長している可能性があります。
アインシュタインが「複利は宇宙で最も偉大な力」と言ったように、この小さな積み重ねが、やがて大きな財産に変わっていきます。
今日から、受け取った配当を「使うお金」ではなく「未来への種まき」として考えてみませんか?あなたの投資が、雪だるま式に成長していく日を楽しみに、一緒に頑張っていきましょう。
投資は自己責任で行ってください。配当は企業の業績により変動する可能性があります。この記事は教育目的であり、特定の投資を推奨するものではありません。投資前には十分な調査と検討を行ってください。