「いつか働かなくても生活できるようになりたい」「もっと自由な時間が欲しい」…そんな想いを抱いている方も多いのではないでしょうか?

最近よく耳にする 「FIRE」 (Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)は、まさにそんな夢を実現する方法の一つです。でも、「何となく憧れる」だけでは、なかなか現実にはなりません。

今日は、FIRE という夢を 「具体的な数字」 に落とし込んで、あなただけの道筋を描く方法をお話しします。数字と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は家計簿をつけるのと同じような作業です。一緒に、あなたのFIRE計画を見える化してみましょう。

FIREって何?なぜ数字が大切なの?

FIREの基本的な考え方

FIRE とは、投資などで得られる収入だけで生活費をまかなえるようになり、働かなくても(または働きたい時だけ働いて)生活できる状態のことです。

完全リタイア型 全く働かずに投資収入だけで生活する

サイドFIRE型
好きな仕事だけをして、投資収入で基本的な生活費をカバーする

なぜ数値化が重要なの?

目標が明確になる 「いつかお金持ちになりたい」より「35歳までに3,000万円貯めたい」の方が、具体的な行動につながりますね。

現実的な計画が立てられる 漠然とした憧れではなく、「月にいくら貯金すればいいか」「何年かかるか」が分かります。

モチベーションが維持できる 進捗が見えることで、「あと○年で達成!」という励みになります。

ステップ1:現在の生活費を正確に把握しよう

FIREの第一歩は、今の生活にいくらかかっているかを知ることです。

生活費の分類方法

固定費(毎月ほぼ同じ金額)

  • 家賃・住宅ローン
  • 保険料
  • 通信費(スマホ・インターネット)
  • 水道光熱費の基本料金

変動費(月によって変わる)

  • 食費
  • 交通費
  • 衣服費
  • 娯楽費・交際費

記録期間のおすすめ

最低3ヶ月、できれば6ヶ月間の支出を記録してみてください。季節による変動(冬の暖房費、夏のエアコン代など)も含めた、より正確な平均値が分かります。

ステップ2:FIRE後の生活費を予測する

現在の生活費が分かったら、FIRE後にどう変わるかを考えてみましょう。

減る可能性のある支出

通勤関連費

  • 定期券代
  • ガソリン代
  • 仕事用の服代

仕事関連費

  • 昼食代(外食が減る)
  • 歓送迎会費
  • 資格取得費用

増える可能性のある支出

趣味・娯楽費 時間ができることで、新しい趣味や旅行にお金を使うかもしれません。

健康管理費 会社の健康保険から国民健康保険に変わると、保険料が変わる可能性があります。

ステップ3:必要資産の算出(25倍ルール)

FIRE界隈でよく使われる 「25倍ルール」 で必要資産を計算してみましょう。

25倍ルールとは?

年間生活費 × 25 = 必要資産

この計算式は、資産を年4%で運用し、その運用益だけで生活するという考え方に基づいています。

具体例

年間生活費が240万円(月20万円)の場合: 240万円 × 25 = 6,000万円

つまり、6,000万円を4%で運用すれば、年240万円の運用益が得られ、元本を減らすことなく生活できるという計算です。

注意点

この計算はアメリカの株式市場の過去データに基づいているため、日本では少し調整が必要かもしれません。安全を見て27-30倍程度で計算する人も多いです。

ステップ4:現在地から目標までのシミュレーション

必要な情報

  • 現在の資産額
  • 月々の貯蓄可能額
  • 想定運用利回り(年3-5%程度が現実的)

シミュレーション例

現在の状況

  • 年齢:30歳
  • 現在の資産:500万円
  • 月々の貯蓄:10万円(年間120万円)
  • 目標資産:6,000万円
  • 想定運用利回り:年4%

この条件でシミュレーションすると、約17年後(47歳)で目標達成となります。

ステップ5:便利なツールで見える化

日本語対応のおすすめツール

study FIRE FIREに特化したシミュレーションシステム。収入・支出・資産を入力するだけで、FIRE年齢を算出してくれます。

みんなのお金 ライフプラン 結婚、子育て、住宅購入などのライフイベントを考慮したシミュレーションができます。

FIREシミュレーション(スマホアプリ) スマホで手軽にFIRE年齢を計算でき、グラフで進捗を確認できます。

家計簿アプリも活用

マネーフォワード ME 銀行口座やクレジットカードと連携して、自動で支出を分類してくれます。

Zaim シンプルな操作で続けやすく、FIRE資金の管理にも便利です。

ステップ6:ケーススタディで理解を深める

パターン1:節約重視型

年間生活費:180万円(月15万円)

  • 必要資産:4,500万円(180万円×25)
  • 特徴:賃貸住宅、自炊中心、趣味は読書や散歩など

パターン2:標準型

年間生活費:300万円(月25万円)

  • 必要資産:7,500万円(300万円×25)
  • 特徴:持ち家、外食も楽しむ、年1-2回の旅行

パターン3:ゆとり型

年間生活費:480万円(月40万円)

  • 必要資産:12,000万円(480万円×25)
  • 特徴:都心マンション、趣味や旅行を存分に楽しむ

あなたはどのパターンに近いでしょうか?

ステップ7:実践アクションプラン

今日からできること

家計の見える化 3ヶ月間、すべての支出を記録してみましょう。

目標設定 理想のFIRE年齢と必要資産を計算してみましょう。

投資の勉強 まずは投資信託やETFの基本から学び始めましょう。

定期的な見直し

年1回の大きな見直し

  • 生活費の変化
  • 資産の増減
  • ライフプランの変更

四半期ごとの進捗確認

  • 貯蓄目標の達成度
  • 投資成績
  • 支出の変化

注意したい落とし穴

楽観的すぎる想定

運用利回り 過去の実績が将来も続くとは限りません。控えめな想定で計画を立てましょう。

生活費の変化 年齢とともに医療費や介護費用が増える可能性があります。

心理的な側面

節約疲れ 過度な節約でストレスを溜めると、長続きしません。適度なバランスが大切です。

目標の修正柔軟性 人生は変化するもの。計画は定期的に見直し、必要に応じて修正しましょう。

FIRE本で学びを深める

初心者におすすめ

『FIRE 最強の早期リタイア術』(クリスティー・シェン他著) 普通のサラリーマンがFIREを達成した実体験に基づく実践的な内容です。

『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両学長著) FIREだけでなく、お金の基礎知識全般を学べます。

より深く学びたい方に

『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著) 資産と負債の違い、キャッシュフローの重要性を学べる名著です。

まとめ:数字で描くFIREへの道

FIRE は夢物語ではありません。適切な計画と継続的な努力があれば、多くの人にとって実現可能な目標です。

大切なポイント

  • 現実的な目標設定:身の丈に合った生活費とFIRE年齢を設定する
  • 継続的な記録:家計管理と投資成績の定期的な確認
  • 柔軟な見直し:ライフステージの変化に合わせて計画を調整
  • 健全なバランス:節約と人生の楽しみのバランスを保つ

今日から始められる小さな一歩が、将来の大きな自由につながります。完璧を目指さず、まずは現在の生活費を把握することから始めてみませんか?

あなたのFIRE計画が、数字によって現実的で達成可能な目標に変わることを願っています。一緒に、自由で豊かな未来に向かって歩んでいきましょう。


投資にはリスクが伴います。FIREの実現には長期間を要し、経済状況の変化により計画通りに進まない可能性があります。無理のない範囲で計画を立て、必要に応じて専門家にご相談ください。