「大学に行かせてあげたいけど、教育費が足りない。奨学金を借りるべきか、借りないほうがいいのか…」

子どもが中学生・高校生になってくると、急にリアルになってくるのが大学費用の話です。私も上の子が高校に入ったとき、初めてちゃんと向き合いました。「奨学金」という言葉は知っていても、種類が多すぎてよくわからない、利子がつくと聞いて怖い、子どもに借金を背負わせるのが申し訳ない……そんな気持ちで、ずっとモヤモヤしていた時期があります。

でも、ちゃんと調べて、わが家の状況に合った選び方をすることで、「奨学金って使い方次第でこんなに違うんだ」と気づきました。この記事では、私自身が調べて・悩んで・実際に動いた経験をもとに、奨学金の基本からメリット・デメリット、後悔しない選び方まで、できるだけわかりやすくお伝えします。

奨学金ってそもそも何種類あるの?まず全体像を知ることが大事

奨学金と聞くと多くの人が思い浮かべるのは「日本学生支援機構(JASSO)」ですが、実は奨学金には大きく分けると3つのタイプがあります。この違いを知るだけで、選択肢がぐっと広がります。

給付型:返さなくていい奨学金

給付型は、もらえるタイプの奨学金です。返済義務がないので、子どもに借金が残らない点が最大のメリット。ただし、対象は家庭の収入が一定以下であることや、成績・学習意欲などの条件を満たす必要があります。

JASSOの給付型奨学金は国の制度として整備されており、住民税非課税世帯や、それに準ずる世帯の子どもが対象になっています。支援の金額は自宅通学か自宅外通学か、また進学先の学校の種別によって変わります。「うちは対象外かも」と思っていても、意外と幅広い世帯が対象になっているケースもあるので、一度調べてみる価値はあります。

貸与型:返済が必要な奨学金

貸与型は、借りて後から返すタイプです。JASSOの貸与型には「第一種(無利子)」と「第二種(有利子)」の2種類があります。

第一種は成績や家計の基準がやや厳しめですが、利子がつかないのが大きな魅力。第二種は条件が比較的緩やかで借りやすい反面、在学中から利子が発生します(在学中は無利子の場合もありますが、卒業後の返済時に利子がつく仕組みです)。

「利子があるとどれくらい増えるの?」と思いますよね。たとえば月5万円を4年間借りると総額240万円になりますが、利率によっては返済総額が10〜30万円以上増えることもあります。小さく見えて、長期になると積み重なるのが利子の怖さです。

民間・地方自治体・大学独自の奨学金

JASSOだけが奨学金ではありません。地方自治体が独自に設けている奨学金制度や、各大学が設ける奨学金、企業・財団による奨学金もあります。中には給付型で返済不要なものや、将来その地域に就職・定住することを条件に返済が免除されるものもあります。

こういった制度は、調べないと存在すら知らずに終わってしまうことが多いです。子どもが志望校を絞り始めたら、その大学の奨学金制度のページを必ず確認することをおすすめします。私は「そんなのあったの!?」と後から知って、もう少し早く調べればよかったと思った経験があります。

奨学金を借りることの、正直なメリット

「奨学金=借金で怖い」というイメージが強いですが、うまく活用すれば家族の負担を大きく減らせる有効な手段でもあります。

進学の選択肢を狭めずに済む

教育費の問題で、行きたい大学や学部を諦めさせてしまう親子は少なくありません。奨学金があれば、「お金のことを考えると、家から通える範囲の大学しか…」という選択の狭まりを防ぐことができます。

子どもが「医療系に進みたい」「芸術系の大学に行きたい」など、学費が高めの分野を志望するとき、奨学金は選択肢を守るセーフティネットになります。やりたいことを諦めさせてしまうほうが、長い目で見たときに後悔が大きくなることもあるからです。

親の老後資金を守れる

これは意外と大事な視点なのですが、教育費のために老後の貯蓄を大きく削るのは、実は家族全体にとってリスクになります。将来的に子どもに経済的な援助を求めるような状況になれば、結局は子どもの負担になりかねません。

奨学金を子ども自身が返済することで、親の老後資金に手をつけずに済むという考え方もあります。「子どもに借金を負わせたくない」という気持ちはよくわかります。でも、現実的な家庭の経済状況を踏まえたとき、親子で役割分担するひとつの方法として捉えることもできます。

金融リテラシーが育つきっかけになる

少し視点を変えると、奨学金の返済を経験することで、子どもが「お金を借りること・返すこと」をリアルに学ぶ機会にもなります。社会に出てからローンを組んだり、家計を管理したりするときの感覚が、若いうちから身につくわけです。

もちろん、これだけを理由に奨学金を借りることはおすすめしません。でも、「借りることのリスクと責任を親子でちゃんと話し合う機会にする」というプラスの使い方ができます。

奨学金を借りることの、見落としがちなデメリット

メリットがある一方で、奨学金にはしっかり理解しておきたいリスクもあります。事前に知っておかないと、卒業後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。

返済が長期にわたり、生活を圧迫することがある

JASSOの貸与型奨学金の返済期間は最長20年です。月々の返済額は借りた金額によって変わりますが、社会に出たばかりの若い時期に、毎月1〜3万円程度の返済が続くというのは、決して軽い負担ではありません。

就職したての給料で、家賃・食費・奨学金返済をやりくりしていたら、結婚資金や将来のための貯蓄がなかなかできないという話も珍しくありません。子どもの将来の人生設計に影響が出ることを、親も子も事前に把握しておく必要があります。

返済が困難になる「延滞」リスク

病気・失業・思ったより収入が低かったなど、やむを得ない事情で返済が滞ることがあります。JASSOの奨学金を延滞すると、延滞金が発生するだけでなく、個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に影響が出て、将来の住宅ローンやカードの審査に響くことがあります。

ただし、JASSOには「返還猶予制度」や「減額返還制度」「返還期限猶予」などの救済制度もあります。いざというとき申請できるよう、制度の存在だけでも頭に入れておくことが大切です。

親が連帯保証人になるリスク

JASSOの貸与型奨学金には、かつては親が連帯保証人になる「人的保証」と、保証料を払って機関に保証してもらう「機関保証」の2種類がありました(現在の制度では機関保証のみとなっていますが、過去に借りた奨学金がある場合などは確認が必要です)。

いずれにせよ、奨学金を申し込む際の書類や条件は必ず最新の内容を公式サイトや学校の窓口で確認するようにしてください。私の経験でも、ネットで拾った情報が古くて混乱したことがあったので、一次情報に当たることを強くおすすめします。

後悔しない奨学金の選び方・考え方

「結局、借りたほうがいいの?借りないほうがいいの?」という問いに対して、正直「場合による」としか言えません。でも、その「場合」を正しく判断するための考え方はあります。

まず「給付型から当たる」が基本

絶対に最初に確認してほしいのが、給付型の奨学金に該当するかどうかです。返さなくていいお金をもらえるなら、それに越したことはありません。

JASSOの給付型奨学金は、家計の収入基準を満たしていれば高校在学中から申し込める「予約採用」という制度があります。高校2〜3年生になった段階で、担任や進路指導の先生に「給付型奨学金の予約採用について教えてください」と聞いてみてください。学校経由で申し込む流れになっているので、早めに動くことがポイントです。

借りる金額は「必要な分だけ」を意識する

奨学金は、申し込める上限額まで全部借りる必要はありません。「多めに借りておいて、余ったら手元に置いておけばいい」という考え方もありますが、借りた分は全額返済しなければならないので、本当に必要な金額だけにとどめることが大切です。

実際にかかる費用(入学金・授業料・生活費・交通費など)を大まかに計算し、家族で出せる金額と比べて「不足分だけ奨学金で補う」という発想で金額を決めると、返済の負担を最小限に抑えられます。

子どもと一緒に「返済シミュレーション」をやってみる

これが一番大事だと私は思っています。JASSOの公式サイトには返済シミュレーションのツールがあります。借りる金額・期間・利率を入れると、毎月いくら返すことになるかがわかります。

このシミュレーション、ぜひ子どもと一緒にやってみてください。「4年間で〇〇万円借りると、毎月〇〇円を〇〇年間返し続けることになる」という数字を、子ども自身がリアルに把握することがとても重要です。他人事のまま奨学金を借りてしまい、卒業後に初めて現実を知って焦る…というパターンを防げます。

親子で数字を見ながら話し合うこと自体が、お金の教育にもなります。「これなら返せそう」「これはちょっとしんどいかも」と子ども自身が判断できる経験は、社会に出てからの大切な力につながります。

奨学金だけに頼らない、教育費の備え方

奨学金はあくまでも選択肢のひとつです。できれば、奨学金だけに頼らなくて済む準備を、できる範囲でしておくことが理想です。

学資保険とNISAを組み合わせて考える

教育費の準備手段として代表的なのが学資保険と積立NISAです。どちらも一長一短があります。

学資保険は「決まった時期に決まった金額が受け取れる」安心感があり、計画が立てやすいのがメリット。一方、積立NISAは運用次第では学資保険より増える可能性がありますが、元本保証がなく、相場の影響を受けます。

どちらが正解かは家庭によって違います。「絶対に〇〇万円は確保したい」という守りの部分は学資保険で、「余裕があれば少しでも増やしたい」という部分は積立NISAで補う、という組み合わせ方をしている家庭も多いです。

高校の段階で使える支援制度も忘れずに

大学だけでなく、高校段階にも支援制度があります。「高等学校等就学支援金制度」は、収入に応じて授業料の一部または全額が支援される制度です。私立高校の場合は支援額が増える加算もあります。

高校3年間の費用を少し抑えられれば、その分を大学費用に回す余裕が生まれます。高校入学前に、学校や自治体の窓口に確認してみてください。

子どもが「自分ごと」として考えられる環境を作る

お金の話を子どもに隠す必要はありません。「うちはこれくらい出せる、あとはこういう方法がある」と正直に話せる関係が、子どもの自立心を育てます。

奨学金を借りることになったとしても、「借りた意味のある4年間にしよう」という意識が子ども自身にあるかどうかで、大学生活の充実度は全然変わります。親が代わりに全部決めるのではなく、子どもと一緒に考えるプロセスを大切にしてほしいと思います。

わが家も完璧ではありませんでした。でも、一緒に調べて・話し合って・悩んだことは、今でも子どもとの大事な思い出になっています。奨学金の話は難しくて後回しにしがちですが、早めに動くほど選択肢が増えます。まずは一歩、情報を集めるところから始めてみてください。

Photo by Olivia Anne Snyder on Unsplash