アニメって、どこから見ればいいの?

「アニメに興味はあるけど、何から見ればいいかわからない」という声は、本当によく耳にします。動画配信サービスを開いてみると、作品数が膨大すぎて逆に手が止まってしまう。そういう経験をされた方も多いのではないでしょうか。

アニメは、映画や小説と同じように、れっきとした「物語を楽しむ文化」です。しかし、長年アニメを見てきた人と、これから初めて触れる人とでは、どの作品が「入り口」として適切かが大きく異なります。

この記事では、アニメをほとんど見たことがない方が最初の一作として選ぶべき作品を、ジャンルや視聴のしやすさという観点から丁寧にご紹介します。「難しくないか」「長すぎないか」「引き込まれるか」という三つの軸を大切にして選んでいますので、ぜひ参考にしてください。

初心者が最初の一作を選ぶときに大切な三つのポイント

作品を紹介する前に、初心者の方が最初の一作を選ぶ際に意識してほしいポイントをお伝えします。これを知っておくだけで、「途中で挫折した」「思っていたのと違った」というすれ違いをかなり防ぐことができます。

話数が少ない、または一話完結に近い構成であること

アニメには、100話を超える長編作品もあれば、全12話前後でまとまった短編作品もあります。初心者の方にとって、いきなり長編に挑戦するのはかなりハードルが高く、途中で力尽きてしまうことが多いです。まずは全12〜13話程度で完結しているもの、あるいは一話ごとにストーリーが完結するタイプの作品を選ぶのがおすすめです。

設定が複雑すぎないこと

アニメの中には、独自の世界観・用語・ルールが山盛りで、慣れていないと第一話だけで頭がいっぱいになってしまうものがあります。初心者の方は、まず「物語の面白さ」を素直に楽しめる作品から入るのが正解です。設定よりもキャラクターや感情の動きに共感しやすい作品が向いています。

映像・音楽のクオリティが高いこと

アニメの大きな魅力のひとつは、映像表現と音楽が一体となって感情を揺さぶってくれる点です。初めて見る作品だからこそ、「アニメってこんなにきれいなんだ」「音楽がこんなに心に刺さるんだ」という体験をしてほしいと思います。作画のクオリティが高く、音楽も印象に残る作品を選ぶことで、アニメへの印象がぐっと変わります。

アニメ初心者におすすめしたい作品たち

それでは、具体的な作品をご紹介していきます。どれもアニメ好きの間で長く愛され続けており、初めて見る方にも安心してすすめられる作品ばかりです。

『千と千尋の神隠し』(スタジオジブリ)

アニメ入門として、まずスタジオジブリ作品は外せません。中でも『千と千尋の神隠し』は、主人公の少女・千尋が不思議な世界に迷い込み、そこで成長していく物語です。映画一本で完結しているため、時間的な負担がなく、初めてアニメを見る方にも非常に入りやすい作品です。

物語のテーマは「働くこと」「自分の名前を守ること」「大切な人のために頑張ること」と、子どもだけでなく大人にも深く刺さる内容になっています。見た後に「もう一度見たい」と思えるような作品で、アニメに対するイメージを良い方向に変えてくれるはずです。

ジブリ作品全般に言えることですが、映像の美しさは他の追随を許しません。湯屋の細部まで描き込まれた背景、キャラクターたちの自然な仕草、水や火の表現など、映像だけを眺めていても飽きません。

『ハイキュー!!』(集英社・Production I.G)

スポーツアニメが好きになれるかどうか試してみたい方には、『ハイキュー!!』をおすすめします。高校バレーボールを舞台に、主人公・日向翔陽が仲間とともに成長していく青春物語です。

スポーツに詳しくない方でも心配いりません。バレーボールのルールを知らなくても、試合の熱量やキャラクターたちの感情の動きが、画面越しにびりびりと伝わってきます。「なぜこんなにアニメの試合でこんなにドキドキするんだろう」と不思議に思うくらい、引き込まれる作品です。

キャラクターが非常に個性豊かで、主人公だけでなくチームメンバー全員に愛着が湧いてきます。友情・ライバル・挫折・再起といった要素が丁寧に描かれており、スポーツアニメの入門として理想的な一作です。全シーズン通じるとやや長めですが、まず第一期(全25話)だけでも十分に楽しめます。

『聲の形』(京都アニメーション)

「アニメって子どもっぽいもの」というイメージをお持ちの方に、特に見てほしい一作です。聴覚障害を持つ少女・西宮硝子と、かつて彼女をいじめていた少年・石田将也の物語で、過去の過ちと向き合い、人と繋がることの難しさと大切さを描いています。

映画一本で完結しており、テーマは非常にシリアスですが、だからこそ見終わった後に深く心に残ります。京都アニメーションならではの繊細な作画と、牛尾憲輔さんによる音楽が、感情を丁寧に包み込むように物語を支えています。

「アニメで泣いたことがない」という方に見てほしい作品でもあります。アニメという表現媒体がいかに感情を揺さぶる力を持っているかを、この作品が証明してくれます。

『よりもい』こと『宇宙よりも遠い場所』(マッドハウス)

「アニメ通に聞いたらきっとすすめられる」と言われるくらい、アニメファンの間で高く評価されている作品です。高校生の女の子たちが南極を目指すという、一見突飛に聞こえる設定ですが、実際に見ると「夢を追いかけること」「仲間と一緒に何かを成し遂げること」の素晴らしさが、まっすぐに伝わってきます。

全13話でしっかりと完結しており、初心者の方が最初の一作として選ぶのに理想的な長さです。登場するキャラクター四人それぞれに異なる背景と動機があり、誰かひとりには共感できるはずです。

特に後半の展開は、伏線の回収が非常に丁寧で「こういうことだったのか」という感動がじわじわと押し寄せてきます。見終わった後に「もっとアニメを見たい」という気持ちになれる、ある意味で「アニメ沼への入り口」とも言える作品です。

『進撃の巨人』(ウィットスタジオ・MAPPAほか)

「少し刺激的なものが見たい」「エンタメとして純粋に楽しみたい」という方には、『進撃の巨人』をおすすめします。巨人に支配された世界で人類が戦う、というシンプルに聞こえる設定ながら、物語が進むにつれて世界の謎が次々と明かされ、予想を超える展開が続きます。

第一話を見た瞬間から「次が気になる」という気持ちを止められなくなる、圧倒的な引力を持つ作品です。映像のスケール感、戦闘シーンのダイナミックさ、澤野弘之さんによる音楽の迫力など、エンターテインメントとしての完成度がきわめて高いです。

ただし、暴力的な描写がある作品ですので、そういった表現が苦手な方は他の作品からスタートするのがよいかもしれません。グロテスクな表現に対して敏感な方は、先にご紹介したジブリ作品や『よりもい』などから入ることをおすすめします。

作品を選んだ後、どこで見ればいいか

作品は決まったけれど「どうやって見るの?」という疑問も、初心者の方にとっては大きなハードルかもしれません。現在はいくつかの動画配信サービスでアニメが配信されており、スマホやテレビから手軽に視聴できます。

代表的なサービスとしては、Netflix・Amazon Prime Video・Disney+・U-NEXT・dアニメストアなどがあります。それぞれに独自のラインナップがあり、月額料金も異なります。無料お試し期間を設けているサービスも多いので、まずは試してみるのが一番です。

スタジオジブリ作品はNetflixで視聴できます(一部地域を除く)。『ハイキュー!!』はNetflixやU-NEXT、Amazon Prime Videoなどで配信されています。『聲の形』や『宇宙よりも遠い場所』、『進撃の巨人』もいくつかのサービスで視聴可能ですが、配信状況は変わることがあるため、視聴前に確認されることをおすすめします。

「続きが気になる」と思えた瞬間がアニメとの出会い

アニメの面白さは、理屈で説明するよりも、実際に見て感じてもらうのが一番です。「なぜこんなに夢中になれるんだろう」「もう一話だけ見よう」という気持ちが生まれた瞬間、それがアニメとの本当の出会いです。

最初はどの作品でも「ちょっと違うかな」と感じることはあります。映画や小説と同じように、アニメにも「好みに合う・合わない」があります。だからこそ、一作で判断しないでほしいのです。最初の一作が合わなかったからといって、アニメ全体が自分に向いていないとは限りません。

ジャンルが違えば、全く異なる体験ができるのがアニメの奥深さでもあります。ファンタジー・スポーツ・恋愛・SF・日常系・ミステリーなど、バリエーションは本当に豊富です。今回ご紹介した作品の中に「これは楽しめた」というものがあれば、そのジャンルや雰囲気に近い次の作品を探してみてください。

まず一作、気軽に試してみてください

アニメは決して「子どもが見るもの」でも「マニアが語るもの」でもありません。丁寧に物語を作り、映像と音楽で感情に語りかけてくる、高い表現力を持った文化です。

今回ご紹介した作品はどれも、アニメに慣れていない方が最初に触れるものとして十分な完成度を持っています。長さ・内容・テーマ・映像クオリティ、どれをとっても「最初の一作」としての条件を満たしています。

まずは一作だけ、気軽な気持ちで試してみてください。気に入ったら次を探せばいい。それだけで十分です。アニメの世界はとても広く、あなたの「好き」をきっと見つけることができます。

Photo by Liana S on Unsplash