「毎月いくら積み立てればいいの?」という疑問、ちゃんと数字で答えます

NISAを始めようと思っているけれど、毎月いくら積み立てればいいのか、そしてそのお金が将来どれくらいになるのか、イメージがわかない——そんな方は多いと思います。

「老後に2,000万円必要」という話は聞いたことがあっても、「じゃあ毎月いくら積み立てれば達成できるの?」というところまで、具体的に考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、毎月の積立金額別・運用期間別に、将来の資産がどれくらいになるか、具体的な試算を示しながら説明します。読み終えたあとには「自分は毎月○円積み立てればいいんだ」という目安が見えてくるはずです。

まず知っておきたい「複利」の力

積立投資の計算をする前に、「複利」という仕組みを押さえておく必要があります。難しい話ではないので、安心してください。

たとえば100万円を年利5%で運用したとします。1年後には105万円になります。次の年は100万円ではなく、この105万円に対して5%がつきます。つまり110.25万円です。

この「増えたお金がさらに増える」という連鎖が複利の仕組みです。最初のうちは地味に見えますが、時間が経つほど雪だるま式に増えていきます。

積立投資では毎月新しいお金を追加しながら、同時にこの複利の恩恵を受け続けます。だから、早く始めるほど有利になるんです。

試算の前提条件を確認しておこう

シミュレーションを見る前に、前提を確認しておきます。

今回の試算では、年率5%の運用リターンを前提にしています。これは世界株式インデックスファンドの長期平均リターンとして、比較的よく使われる数字です。もちろん実際の運用成績は年によって上下しますし、この通りになるとは限りません。あくまで「こんなイメージ」として参考にしてください。

また、NISAの非課税メリットも重要です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。100万円の利益が出ても、手元に残るのは80万円です。でもNISA口座での運用なら、この税金がゼロになります。長期になればなるほど、この差は大きくなります。

毎月の積立額別・将来の資産シミュレーション

では、実際に数字を見てみましょう。毎月の積立額を5,000円・1万円・3万円・5万円に分けて、10年・20年・30年後の資産額を試算しました。

毎月5,000円積み立てた場合

月5,000円というのは、毎日コーヒー1杯を我慢する程度の金額です。「これだけで本当に増えるの?」と思うかもしれませんが、じっくり見てください。

  • 10年後:約776,000円(元本60万円)
  • 20年後:約2,055,000円(元本120万円)
  • 30年後:約4,161,000円(元本180万円)

30年続けると、元本の2.3倍以上になります。自分で積み立てた金額が180万円なのに、最終的には416万円になるというイメージです。長く続けることの力を感じてもらえるでしょうか。

毎月1万円積み立てた場合

月1万円は、多くの方が「頑張れば出せる」と感じる金額ではないかと思います。

  • 10年後:約1,553,000円(元本120万円)
  • 20年後:約4,110,000円(元本240万円)
  • 30年後:約8,322,000円(元本360万円)

30年で800万円超。老後資金の準備としても、かなり心強い数字です。元本が360万円なのに、運用益が440万円以上ついていることになります。

毎月3万円積み立てた場合

月3万円は、収入に余裕が出てきた方や、副業で少し収入が増えた方が検討するラインです。

  • 10年後:約4,658,000円(元本360万円)
  • 20年後:約12,331,000円(元本720万円)
  • 30年後:約24,965,000円(元本1,080万円)

20年で1,200万円超、30年でなんと2,500万円近くになります。「老後2,000万円問題」の答えが、この数字の中に見えてきます。元本1,080万円に対して運用益が約1,400万円、つまり増えた分のほうが多くなるんです。

毎月5万円積み立てた場合

月5万円は、新NISA(つみたて投資枠)の月あたりの目安に近い金額です。ここまで積み立てられると、資産形成のスピードが大きく変わります。

  • 10年後:約7,764,000円(元本600万円)
  • 20年後:約20,551,000円(元本1,200万円)
  • 30年後:約41,609,000円(元本1,800万円)

30年で4,000万円超という数字は、かなりインパクトがあるはずです。もちろんここまで積み立てられる人は限られますが、「なるべく早くなるべく多く積み立てること」の価値が、この数字から伝わると思います。

「老後2,000万円」を達成するには毎月いくら必要か?

逆算してみましょう。「老後に2,000万円を準備したい」という目標があるとして、今から何年後に達成したいかによって、必要な積立額は変わってきます。

年率5%で運用する前提で計算すると、おおよそ以下のようになります。

  • 20年で2,000万円を目指す場合:毎月約48,000円
  • 25年で2,000万円を目指す場合:毎月約30,000円
  • 30年で2,000万円を目指す場合:毎月約24,000円

30年という時間があれば、毎月2万4,000円の積み立てで2,000万円に届く計算です。これは月3万円には届かない金額です。「2,000万円なんて自分には無理」と感じていた方も、少し現実的に思えてきませんか?

ポイントは、早く始めるほど毎月の負担が軽くなるという事実です。25年後に同じ2,000万円を目指すなら月3万円が必要ですが、30年あれば月2万4,000円で済む。この6,000円の差は、5年間分の「時間」が生み出す余裕です。

新NISAで積み立てると何が違うのか

ここまでの試算はすべて「NISAなしの場合」との比較でも考えてみましょう。

たとえば、月3万円を30年積み立てて2,500万円になった場合を考えます。元本は1,080万円なので、運用益は約1,420万円です。

NISAを使わない一般口座や特定口座であれば、この1,420万円の利益に対して約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)の税金がかかります。計算すると約288万円。つまり手元に残るのは約2,212万円になります。

NISAを使えば、この288万円がまるごと手元に残ります。30年という長期で見ると、税制優遇の恩恵は非常に大きいことがわかります。

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、合わせて年間360万円(月30万円)まで投資できます。ほとんどの方はつみたて投資枠(年間120万円・月10万円)だけで十分ですが、余裕がある方は成長投資枠も活用できます。生涯投資枠の上限は1,800万円です。

「でも、今は余裕がない…」という人へ

「毎月3万円なんて出せない」「今は月5,000円が精一杯」という方も、がっかりしないでください。

大切なのは金額よりも、始めること・続けることです。

月5,000円から始めて、昇給したり支出を見直したりしながら少しずつ増やしていく——これが現実的な資産形成の姿です。最初から完璧な金額で始める必要はありません。

また、積立投資には「ドルコスト平均法」という効果もあります。毎月一定額を買い続けることで、価格が高いときは少なく、安いときは多く買えます。結果として、平均購入コストを下げやすくなるという特性があります。これは、相場を読むことなく機械的に続けるだけで得られる恩恵です。

「今月は相場が下がっているから不安…」と思う必要はありません。下がっているときこそ、安くたくさん買えているチャンスでもあります。

積立金額を決めるときの考え方

「いくら積み立てるか」を決めるとき、次のステップで考えると迷いにくくなります。

ステップ1:毎月の収支を把握する

まず、毎月の手取り収入から固定費・変動費を引いて、いくら残るかを確認します。家計簿アプリを使うと手軽に把握できます。残った金額の半分以上を積み立てに回せると理想的ですが、最初は無理のない範囲で構いません。

ステップ2:緊急予備資金を確保する

積み立てを始める前に、生活費3〜6ヶ月分の「緊急予備資金」を普通預金に確保しておきましょう。急な出費があったときに投資を崩さなくて済むよう、この資金は手をつけないようにします。

ステップ3:「減らしても生活できる金額」を積み立てる

積立額を決めるときの鉄則は、「生活が苦しくならない金額」にすることです。無理して月5万円積み立てても、途中で挫折してしまっては意味がありません。「多少相場が下がっても動じず、自動的に続けられる金額」が正解です。

ステップ4:収入が増えたら積立額も増やす

昇給・ボーナスアップ・副業収入が増えたタイミングで、積立額を見直します。生活水準を上げるより先に、積立額を少し増やす習慣をつけるだけで、将来の資産額は大きく変わります。

始める前に確認しておきたいこと

最後に、NISAで積み立てを始める前のチェックポイントをまとめておきます。

証券会社はどこがいい?

NISAは銀行でも開設できますが、投資できる商品の種類や手数料の面から、ネット証券(SBI証券・楽天証券など)がおすすめです。口座開設は無料で、スマホだけで手続きできます。

どのファンドを選べばいい?

初心者には、全世界株式インデックスファンド米国株式インデックスファンドが定番です。信託報酬(運用コスト)が年0.1〜0.2%程度と低いものを選ぶことが大切です。コストの差は小さく見えますが、30年という長期では数十万円の差になることもあります。

設定したら放置でいい?

積立設定をしたら、基本的には放置で大丈夫です。むしろ毎日値動きを気にするほうが精神的にしんどくなり、途中で売ってしまうリスクが上がります。「設定したら忘れる」くらいのスタンスが長続きのコツです。年に1〜2回、積立額の見直しと資産残高の確認をする程度で十分です。

まずは「今日できること」を一つだけやってみよう

シミュレーションの数字を見て、「思ったより増えるんだな」と感じた方も、「まだ自分には難しいかな」と思った方も、まず一つだけ行動してみてください。

証券口座の開設は15分もあればできます。口座を作るだけなら費用は一切かかりません。口座を持っていれば、積み立てを始めるタイミングはいつでも自分で決められます。

月5,000円でも、月3,000円でも、始めた日から複利の力が働き始めます。「完璧な条件が揃ってから始めよう」と待っている間にも、時間は過ぎていきます。今日の5,000円と、5年後の5,000円では、将来の価値が違います。

資産形成に「遅すぎる」はありませんが、「早いほど有利」なのは確かです。今日が、あなたの資産形成の出発点になりますように。

Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash