「大学って、そんなにかかるの…?」と、お子さんの進路を話し合う中でぞっとした経験はありませんか。私が初めてリアルな学費の数字を知ったのは、上の子が小学校3年生のとき。ちょうど参観日で会ったママ友が「そろそろ教育費の積み立てを増やさないとって焦ってる」と言い出したのがきっかけでした。帰宅してネットで検索したら、大学4年間だけで数百万円という数字が次々出てきて、しばらく頭が真っ白になりました。

でも、焦って動き出したあの日から10年以上が経ち、今は「あのとき動いておいてよかった」と心から思えています。準備の方法も、失敗したことも含めて、包み隠さず書きます。

高校・大学にかかるお金は「思っているより多い」と思っておく

まず「どのくらいかかるのか」という全体像を知っておかないと、準備の計画が立てられません。ここでは実際の数字感をお伝えしますが、「絶対にこの金額」ではなく、家庭によって大きく変わるため、あくまで目安として読んでください。

高校の学費は「公立か私立か」で大きく変わる

高校は義務教育ではないので、学費が発生します。公立高校であれば授業料は就学支援金(国の制度)でかなり補えることが多いですが、入学金・教材費・修学旅行積み立て・部活費用などを含めると、3年間で100万円前後になることは珍しくありません。

私立高校になると授業料だけで年間60〜80万円程度、さらに施設費や諸経費が上乗せされるため、3年間で200〜300万円以上になるケースも多いです。就学支援金の対象になる場合は負担が減りますが、年収によって補助額が変わるため、自分の家庭がどの程度もらえるかは事前に確認が必要です。

「うちは公立に行くから大丈夫」と思っていたら、お子さんが私立を希望した、志望校が私立しかない、というのはよくある話です。私自身、長女が中3のときに「行きたい高校が私立だった」という経験をしています。公立前提で計画を立てていたので、かなり慌てました。

大学は自宅通学か一人暮らしかで「数百万円」変わる

大学費用は、国公立か私立か、文系か理系か、そして自宅から通えるかどうかで、大きく変わります。ざっくりと言えば、

  • 国公立大学・自宅通学:4年間で250〜300万円前後
  • 私立大学・文系・自宅通学:4年間で400〜500万円前後
  • 私立大学・理系・自宅通学:4年間で500〜600万円前後
  • これに一人暮らしの生活費が加わると、さらに400〜600万円以上

つまり、「私立・理系・一人暮らし」という組み合わせになると、大学だけで1,000万円を超えることもあります。医学部・薬学部・獣医学部はさらにその倍以上になる場合もあるので、志望の幅によって準備額の目標が変わってきます。

「どこの大学に行くかなんてまだわからない」という場合は、「私立・一人暮らし」を想定して準備しておくのが安心です。実際にそこまでかからなければ、その分が家族の資産として残るだけなので、多めに備えるほうが後悔が少ないです。

いつから・どうやって積み立てるか、現実的な考え方

「大学入学まで何年あるか」で月々の積み立て額が変わる

教育費の準備でよく言われるのは「早く始めるほど楽になる」ということです。これは確かにその通りなのですが、もう少し具体的に考えてみます。

たとえば、大学入学時点で300万円を準備したいとします。

  • 子どもが0歳から始める場合:月々約1万4,000円(18年間)
  • 子どもが6歳から始める場合:月々約2万1,000円(12年間)
  • 子どもが12歳から始める場合:月々約4万2,000円(6年間)

これを見ると、早く始めるほど月々の負担が軽いことがよくわかります。ただし「今から始めても遅い」ということもなく、何歳からでも始めた日がいちばん早い日です。

大切なのは、「目標額」と「残り年数」を把握した上で、月々の積み立て額を決めること。感覚で「なんとなく毎月1万円貯めてる」という状態では、いざ必要になったときに足りない可能性があります。

積み立て方は「目的別に分ける」とうまくいく

教育費の貯め方で私が経験上おすすめするのは、「普段の生活費と混ぜない専用の口座を作る」ことです。生活費と同じ口座に入れておくと、気づかないうちに使ってしまうことがよくあります。実際に私もそれをやらかして、「あれ、教育費用のお金どこ行った?」となった苦い経験があります。

銀行の積み立て定期預金を使えば、毎月決まった額が自動的に移されるので、意志の力に頼らず続けられます。「積み立てるお金は最初からないもの」と思えるくらい自動化してしまうのが、長続きするコツです。

また、高校用・大学用と分けて考えるのも一つの方法です。高校入学まで数年しかない場合は、元本割れリスクのない預金で確実に備え、大学用は期間が長いので多少のリスクを取った運用を組み合わせるという考え方もできます。

学資保険・NISA・積み立て預金、何を使えばいい?

学資保険は「安心感」と「確実性」を買うもの

教育費の準備といえば学資保険、というイメージがある方は多いと思います。学資保険の一番の特徴は「確実に受け取れる」という安心感です。子どもが何歳になったときにいくら受け取れるかが契約時点で決まっており、計画が立てやすいのは間違いありません。

また、契約者(主に親)が亡くなった場合でも保険が継続し、満期時に予定通りの金額を受け取れる「保障機能」もあります。これは学資保険ならではのメリットで、特に家計を支えている親が一人という家庭では心強い仕組みです。

ただし、今の低金利環境では元本がほぼ増えない、あるいは場合によっては払い込んだ額よりわずかに少なくなる商品もあるため、「運用で増やす」目的には向きません。あくまで「安全に確保する」ための手段と考えておくとよいでしょう。

つみたて投資(NISA)は「時間を味方にできる人」に向いている

子どもがまだ小さく、大学入学まで10年以上ある家庭であれば、つみたて投資(NISAの積み立て枠)を活用する選択肢もあります。長期で積み立てることで、市場の上下動を平均化しながら資産を育てる「時間の分散」効果が働くためです。

ただし、投資はあくまで増える可能性がある一方で、元本が減るリスクがあります。大学入学の直前に大きく値下がりしたら、必要なときに使えない可能性があります。そのため、私が実際にやっていたのは「大学入学の2〜3年前くらいから少しずつ現金に移しておく」という方法でした。投資で育てつつ、必要が近づいたら確定させるというイメージです。

「投資はよくわからないし不安」という方が無理に手を出す必要はありません。元本保証の積み立て預金や学資保険でも、早く始めて継続できれば十分な額を準備できます。大事なのは「完璧な方法を選ぶこと」ではなく、「自分が続けられる方法を選ぶこと」です。

奨学金・教育ローンも「知っておくこと」が大事

いくら準備していても、子どもが希望する進路によっては足りないこともあります。そのときのために、使える制度を事前に知っておくことも大切です。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には「給付型」と「貸与型」があります。給付型は返済不要で、世帯収入や学業の状況によって受け取れる場合があります。貸与型は借り入れなので返済が必要ですが、利子がゼロの第一種と、低い利子がつく第二種があります。子ども本人が借りて返済するという仕組みであることを、早いうちから親子で話し合っておくと、進路選択の際に現実的な話ができます。

また、国の教育ローン(日本政策金融公庫)は親が借りて学費に充てる制度で、金利が低く設定されています。万が一の補完手段として頭の片隅に入れておくと、いざというときに慌てずに済みます。

家計の「今」と「これから」を一緒に考える

教育費と老後の資金は「どちらかだけ」では立ち行かない

教育費の準備に一生懸命になるあまり、老後の備えが全くできていない、という状態は避けてほしいと思っています。子どもの大学卒業と親の定年退職が近い時期に重なる場合、学費の支払いが終わったと思ったらもう働ける期間があまりない、という状況になることもあります。

「子どもの教育費は何とかしてあげたい」という気持ちはよくわかります。私もそうです。でも、子どもが大人になってから「親の生活費を支えなければならない」という状況になるのも、子どもにとって重荷になることがあります。

教育費・老後資金・住宅費など、家計の中で複数の大きな支出が重なる時期をあらかじめ把握しておき、無理のない配分を考えることが必要です。ファイナンシャルプランナーに相談して「ライフプラン表」を一緒に作ってもらうのも、一度は試してみる価値があると思います。無料で相談できる機会もあるので、ハードルはそれほど高くありません。

夫婦で「いくら準備するか」を話し合う機会を作る

教育費の準備は、夫婦どちらか一方だけが管理していると、いざというときに「こんなに貯まってたの?」「え、これしかないの?」という会話になりがちです。私の家でも、夫が家計にあまり関心を持っていなかった時期があり、子どもの進学先を決めるときに初めて「お金の現実」を一緒に確認した、ということがありました。

育児の方針だけでなく、教育費についても「どの程度まで出してあげたいか」「足りない分はどう対応するか」「子ども本人にどこまで伝えるか」を夫婦で話し合っておくと、いざというときにぶつからずに済みます。

話し合いのタイミングとしては、入学・進学の節目、家計の見直しをするとき、子どもが進路について話し始めたときなど、「何かのきっかけ」があると自然に入りやすいです。「教育費の話をしよう」と改まって切り出すより、子どもが「将来〇〇になりたい」と言い出したタイミングに乗っかって話すほうが、スムーズにいくことが多いです。

準備しながら「子どもにもお金の話を伝える」

進路とお金の話は、中学生になったら始めていい

「子どもにお金の話をするのは早すぎる」と思っているご家庭もあると思いますが、私の経験では中学生くらいから少しずつ伝えておくと、進路選択のときに子ども自身が現実を見据えた考え方ができるようになります。

具体的には、「大学ってどのくらいお金がかかると思う?」と話題を振ってみることから始められます。子どもが「知らない」と言えば、一緒に調べるきっかけになります。「うちはここまで出せる、足りない分はこういう方法がある」と話すことで、子どもが進路を選ぶときに「自分がどこまで希望していいか」の目安になります。

お金の話を「タブー」にしないことが、子どもの金銭感覚を育てることにもつながります。奨学金を借りるかもしれないなら、その意味も含めて伝えておく。進路の幅を広げたいなら、バイトや節約で自分でも貯める経験をさせる。そういった話を家族でできる雰囲気をつくっておくことが、長い目で見てとても大切だと感じています。

「貯める習慣」を親子で一緒に育てる

子どもに「お金を貯める感覚」を身につけさせたいなら、お小遣いのやり方を工夫するのも一つの手段です。毎月決まった額を渡し、「自分で管理する」経験を積ませることで、「入ってきたお金をすぐ全部使う」習慣がつきにくくなります。

うちでは子どもが小学3年生くらいから、使う分・貯める分・たまに欲しいものを買う分、という3つに分けるやり方を試しました。最初はうまくいかなくて「全部使っちゃった」と泣いたこともありましたが、それも含めて学びでした。大切なのは「失敗してもやり直せる小さな金額のうちに経験させておくこと」です。

親が教育費を準備しながら、子ども自身もお金と向き合う習慣を育てていく。その両方が重なることで、子どもが大人になったときの「お金と上手に付き合う力」にもつながっていくと思っています。

高校・大学の学費は、確かに大きな金額です。でも「何年かけて、月々いくら積み立てれば近づけるか」を知ってしまえば、漠然とした不安よりずっと動きやすくなります。完璧な方法を探すより、今日から一歩踏み出す方が、必ず未来の自分を助けてくれます。

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