「え、そんな制度あったの?もっと早く知りたかった!」
末っ子が3歳になったとき、保育園のお迎えで隣のママからこんな言葉を聞きました。医療費助成の申請を1年近く忘れていて、数万円分の還付を受け損ねてしまったというのです。私自身も第一子のときは何も分からず、使えたはずの制度をいくつも見逃しました。あのときの「知らなかった損」は、今思い出しても悔しい。
子育て中のお金の制度って、なぜか「知っている人だけが得をする」構造になっています。自治体の窓口に行かないともらえないものや、申請しないと自動的にもらえないものも多い。忙しい子育て中に制度を調べる時間を取るのは本当に大変ですが、一度整理しておくと家計が大きく変わります。
この記事では、私が10年以上の子育て経験の中で実際に使ってきた制度や、「もっと早く知りたかった」と感じた補助金・支援制度をカテゴリ別にまとめました。申請漏れを防ぐためのチェックポイントも添えていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
出産前後に必ず確認したい給付金・一時金
出産育児一時金:1人につき原則42万円以上が受け取れる
健康保険に加入していれば、赤ちゃん1人の出産につき出産育児一時金が支給されます。金額は加入している健康保険組合によって多少異なりますが、国が定める基準額があり、病院によっては直接支払制度を使って窓口での支払いを減らすことができます。
私が第一子を産んだときは、この制度の存在は知っていましたが、「病院が勝手にやってくれるもの」だと思い込んでいました。実際は、直接支払制度を使う場合でも同意書への署名が必要ですし、受取代理制度を使う場合は事前に健保組合への手続きが必要です。手続きの種類や流れを産院の助産師さんや健保組合に事前に確認しておくことをおすすめします。
また、出産費用が一時金を下回った場合は差額を請求できます。これも自動ではなく申請が必要なので、忘れずに。
出産手当金:働くママが産前産後に受け取れる給与補填
会社員・公務員として健康保険に加入しているママが産前42日・産後56日の産休中に受け取れるのが出産手当金です。おおよそ給与の3分の2相当が支給されます。
自営業やフリーランスの方は国民健康保険に加入している場合がほとんどで、残念ながら国民健康保険には出産手当金がありません(一部の自治体や組合で独自給付がある場合もあります)。加入している保険の種類を確認しておきましょう。
申請は出産後に行うことが多いですが、会社の総務担当者や健保組合に「いつ、どこへ、何を提出すればいいか」を産休に入る前に確認しておくと安心です。私は産後の慌ただしい時期に書類を集めるのが大変でした。先に流れを把握しておくことをおすすめします。
育児休業給付金:収入の半分以上をカバーする強力な制度
雇用保険に加入している方が育休を取得した場合、ハローワークから育児休業給付金が支給されます。育休開始から180日間は休業前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。これはパパも対象です。
給付金を受け取るには、勤務先を通じてハローワークへ申請する必要があります。2ヶ月ごとの申請が必要になるので、会社の担当者と連携して手続きが漏れないよう確認し合うといいでしょう。
育休中は社会保険料も免除になるため(健康保険・厚生年金)、手取りで計算すると思っていたより受け取れる金額が多く感じられることもあります。育休を取るかどうか迷っているパパがいる家庭では、ぜひ一緒に試算してみてください。
子育て中ずっと使える医療費・手当の制度
児童手当:0歳から中学卒業まで継続して受け取れる
子どもが生まれてから中学校を卒業するまでの間、定期的に支給される児童手当は子育て家庭の基本中の基本とも言える制度です。支給額は子どもの年齢や第何子かによって異なります。
重要なのは、出生届を出した後、15日以内に居住している市区町村に児童手当の認定請求をしないと、申請した月の翌月分からしか支給されないという点です。転居したときも同様で、前の自治体での受給資格を消滅させる手続きと新しい自治体での認定請求を忘れると受け取れない期間が生じます。
また、毎年6月頃に「現況届」の提出が必要な自治体もあります(不要な自治体もあります)。自分の自治体のルールを確認しておきましょう。私は引越しのバタバタで手続きが遅れ、1ヶ月分を受け損ねた苦い経験があります。
子ども医療費助成:自治体によって内容が大きく異なる
子どもが病院にかかったときの医療費を自治体が助成してくれる制度です。対象年齢や自己負担額は自治体によって大きく異なり、中学卒業まで無料の自治体もあれば、小学校入学前までの自治体もあります。
この制度は出生届を出した後、市区町村の窓口で手続きをして受給者証を発行してもらう必要があります。発行前に病院にかかった場合は、後日領収書を持参して還付申請できることがほとんどですが、申請期限がある場合もあるので早めに動くことが大切です。
転居した場合も再手続きが必要です。引越し後すぐに子どもが体調を崩すことはよくあること。転居直後でも使えるよう、引越し当日か翌日には手続きに行くくらいの気持ちでいると安心です。
特別児童扶養手当・障害児福祉手当:障害や慢性疾患がある子どもへの支援
身体や精神に障害がある20歳未満の子どもを養育している保護者に支給されるのが特別児童扶養手当です。障害の程度によって支給額が異なります。また、常に介護が必要な重度障害のある子ども本人に支給される障害児福祉手当もあります。
「うちの子が対象になるとは思っていなかった」という声をよく聞きます。発達障害や慢性疾患など、外見からは分かりにくい状態でも対象になる場合があります。「もしかして対象かも?」と感じたら、まずは市区町村の障害福祉担当窓口や、かかりつけ医に相談してみることをおすすめします。
保育・教育費を抑えるための制度
幼児教育・保育の無償化:3歳から5歳は保育料が原則無料
3歳から5歳のすべての子どもを対象に、認可保育所・認定こども園・幼稚園などの利用料が原則無償化されています。0歳から2歳児についても、住民税非課税世帯であれば対象になります。
ただし、無償化されるのは「保育料」の部分だけです。給食費・行事費・教材費などは引き続き保護者負担となります。また、認可外保育施設は上限額が設けられており、施設によっては全額無償にならないこともあります。
幼稚園の場合は「新制度移行園」かどうかで手続きが異なります。通っている園が新制度の幼稚園かどうか、また認定申請が必要かどうかを市区町村や園に確認しておきましょう。
高等学校等就学支援金:中学卒業後も使える授業料支援
公立・私立問わず、高等学校等に通う生徒の授業料を国が支援する制度です。世帯年収に応じて支給額が異なり、私立高校に通う場合でも一定額まで授業料が実質無料になる場合があります。
この制度は学校を通じて手続きを行います。入学時に案内が配布されることがほとんどですが、内容をしっかり確認せずに期限を過ぎてしまうご家庭も少なくありません。書類の提出期限と必要書類(収入を証明するもの等)を事前に把握しておきましょう。
まだ高校は先という方も、「こういう制度がある」と知っておくだけで、将来の教育費計画が立てやすくなります。
教育訓練給付・奨学金制度:将来を見据えた準備として知っておく
子ども向けではありませんが、子育て中の親自身が学び直しをしたいときに使えるのが教育訓練給付金です。雇用保険に一定期間加入している方が対象で、指定された講座の受講費用の一部を国が負担してくれます。
また、子どもの大学進学時に使える奨学金制度についても、高校生になってから慌てて調べるより、今から仕組みだけでも把握しておくと安心です。給付型(返還不要)と貸与型があり、世帯収入や学業成績によって受けられる種類が異なります。日本学生支援機構(JASSO)のウェブサイトに詳細な情報が掲載されています。
ひとり親・低所得世帯向けの手厚い支援
児童扶養手当:ひとり親家庭の生活を支える柱
離婚・死別・未婚など、さまざまな理由でひとり親になった家庭の子ども(18歳になった後の最初の3月31日まで)を養育している保護者に支給される手当です。所得に応じて全部支給・一部支給に分かれます。
支給を受けるには市区町村の窓口での認定請求が必要です。また、年に一度「現況届」の提出が必要で、これを忘れると支給が止まります。提出時期を事前にカレンダーに記入しておくことを強くおすすめします。
「子どもが父(母)からの養育費をもらっていると受け取れない」と思い込んでいる方もいますが、養育費をもらっていても、金額によっては児童扶養手当の対象になります。まずは窓口で相談してみてください。
就学援助制度:小中学校の費用を援助してもらえる
経済的な理由で就学が困難な小中学生の保護者に対し、学用品費・給食費・修学旅行費などを自治体が援助する制度です。生活保護を受けているご家庭だけでなく、それに準ずる低所得の家庭も対象になります。
「就学援助を使っている」ということが学校内で分かってしまうのでは、と心配する保護者の方もいます。実際には、給食費や修学旅行費は学校側で一括管理されるため、他の保護者や子ども本人に分かることはほとんどありません。
申請は学校か市区町村の教育委員会窓口で行います。毎年度申請が必要な自治体がほとんどです。新年度が始まる前に案内が配布される場合もあるので、見逃さないようにしましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付金:低利で借りられるひとり親向け貸付
ひとり親家庭を対象に、生活費・事業を始めるための資金・子どもの進学費用などを低利または無利子で借りられる制度です。返済が必要な「貸付」であることを理解した上で、計画的に活用することが大切です。
「補助金や手当だけでは足りない」「一時的に大きな出費が重なった」というときの選択肢として知っておくと役立ちます。都道府県や市の福祉担当窓口に相談することで、自分の状況に合った制度を紹介してもらえます。
申請漏れをなくすための実践的なチェックポイント
「ライフイベントのたびに窓口へ」を習慣にする
子育て中の制度の多くは、「何かがあったとき」に申請するタイミングが来ます。出産・転居・入園・入学・離職・離婚など、ライフイベントのたびに自治体の窓口(または勤務先の総務)に「今使える制度はありますか?」と一言聞く習慣をつけるだけで、見逃しが大幅に減ります。
私がおすすめしているのは、引越し後の転入手続きのときにまとめて「子育て関係で手続きが必要なものはありますか?」と確認することです。多くの自治体では、子ども担当の窓口がまとめて案内してくれます。面倒でも一度で済ませるよう、子どもを連れて行くより、できれば一人で集中して手続きできる時間を作るといいですね。
自治体独自の上乗せ給付を見落とさない
国の制度に加えて、自治体が独自に給付している補助金や手当があります。たとえば、多子世帯向けの給付金、保育料の追加軽減、医療費の年齢上限の引き上げなどは、自治体によって内容が大きく異なります。
自治体のホームページや広報誌には、こうした独自制度がまとめられていることが多いです。「子育て支援」「子育てガイド」といったカテゴリを定期的に確認する習慣をつけておくと安心です。引越しを検討している場合は、自治体の子育て支援の内容を比較することも一つの判断材料になります。
制度を調べる時間がないときはFPや相談窓口を活用する
子育て中はとにかく時間がありません。制度を調べたいけど調べる余裕がない、というのは本当によく分かります。そんなときは、無料で使える相談窓口を活用してください。
ファイナンシャルプランナー(FP)への相談は、保険会社や金融機関が主催する無料相談窓口を使えば費用をかけずに利用できます。自治体が設けている子育て世代包括支援センターや、子ども家庭支援センターでも、制度についての相談に乗ってもらえます。「全部自分で調べなければ」と抱え込まず、プロに聞くのが一番の近道です。
制度を「知っているかどうか」だけで、家庭に入るお金が年間数万円から数十万円変わることもあります。子育ては長距離走。使える制度はしっかり使いながら、無理なく走り続けていきましょう。