深夜2時。やっと寝かしつけたと思って布団に入った瞬間、「ふぇ…ふぇ…ふぇーん!」と泣き声が聞こえてくる。慌てて抱き上げても、おっぱいをあげても、ゆらゆら歩き回っても、全然泣き止まない。気づけば1時間以上経っていて、自分も疲れ果てて涙が出てくる。
そんな経験、ありませんか?私も長男が生後6ヶ月の頃、毎晩のように夜泣きに悩まされました。「何がいけないんだろう」「育て方が悪いのかな」と自分を責めながら、ふらふらの状態で朝を迎えた日が何十日も続きました。
この記事では、夜泣きの原因を整理した上で、私が実際に試して効果があった対処法や、パパ・ママが心を保つためのヒントをお伝えします。すべてが一晩で解決するわけではないけれど、「なぜ泣いているのか」を知るだけでも、気持ちがずいぶん楽になるはずです。
夜泣きとは何か・いつから始まっていつ終わるのか
夜泣きの定義と一般的な時期
夜泣きとは、睡眠中や眠りから目覚めた際に、はっきりした原因が見当たらないまま激しく泣き続ける状態のことです。空腹や痛みといった明確な理由がある「泣き」とは区別して考えると整理しやすくなります。
多くの赤ちゃんで夜泣きが始まるのは、生後5〜6ヶ月頃からです。それまでは昼夜の区別がまだついていないので「夜中に泣く」こと自体は珍しくないのですが、生後半年前後になると睡眠のリズムが少しずつ整ってきます。そのリズムの変化の途中で、夜泣きが目立ってくるケースが多いです。
ピークは生後8ヶ月〜1歳半頃で、2歳を過ぎると自然に落ち着いてくる子がほとんどです。ただし個人差がとても大きく、1ヶ月で収まる子もいれば、2歳を超えても続く子もいます。「いつ終わるの」という不安はよく分かりますが、終わらない夜泣きはありません。これだけは断言できます。
夜泣きしやすい子・しにくい子の違い
「うちの子だけなぜこんなに泣くの?」と感じているパパ・ママも多いと思います。実際、同じ月齢でも夜泣きがほとんどない子と、毎晩激しく泣く子がいます。これは育て方の差ではなく、生まれ持った気質や神経系の発達ペースの違いによるところが大きいです。
感受性が高くて外部の刺激をよく拾う子、環境の変化に敏感な子は、夜泣きが長引きやすい傾向があります。逆に言えば、そういう子はさまざまなことに気づきやすい豊かな感性を持っているとも言えます。夜泣きがひどいからといって、その子の発達に問題があるわけではありません。
夜泣きの主な原因を知っておく
睡眠サイクルの未熟さ
赤ちゃんの睡眠は、大人と比べてレム睡眠(浅い眠り)の割合がとても高いです。大人が眠りのサイクルを90〜120分で一周するのに対し、赤ちゃんは40〜50分程度で浅い眠りに戻ってきます。
この浅い眠りに差し掛かったとき、大人なら自分でまた深い眠りに戻れますが、赤ちゃんはまだその方法を知りません。「あれ、眠れない、怖い」という感覚から泣き出してしまうのです。眠り方を自分でコントロールする力(睡眠の自己調整力)は、成長とともに少しずつ身についていきます。
脳や神経の発達に伴う情報過多
生後6ヶ月〜1歳にかけては、脳が急速に発達する時期です。日中に見たもの・聞いたこと・感じたことが、睡眠中に処理されるため、脳が活発に動き続けています。その刺激が強すぎると、眠りの途中で覚醒して泣くことがあります。
たとえば、初めて公園に連れて行った日の夜、久しぶりに親戚がたくさん集まった日の夜、保育園に入園してすぐの時期など、「いつもより刺激の多かった日」の夜泣きがひどくなるのは、このメカニズムによるものです。「昼間楽しく過ごしたのに夜泣きするなんて」と思いがちですが、むしろ楽しかったからこそ脳が忙しいとも言えます。
分離不安・情緒の発達
生後8〜10ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんに「人見知り」や「後追い」が見られるようになります。これは親(特にメインでお世話をする人)への愛着が育ってきた証拠で、発達上とても自然なプロセスです。
ただその一方で、眠りが浅くなった瞬間に「ママやパパがいない!」という恐怖から泣き出すことがあります。これが分離不安による夜泣きです。昼間も後追いがひどい時期と夜泣きが重なりやすいのは、このためです。「抱っこすると余計に甘える」と心配する声もありますが、この時期に求めに応じて抱っこすることは、子どもの安心感の基盤を作ることにつながります。甘やかしにはなりません。
身体的な不快感・体調の変化
歯が生えてくる時期(生後6ヶ月〜2歳頃)は、歯ぐきのむずがゆさや痛みで夜泣きが増えることがあります。また、鼻づまりや耳の痛み(中耳炎など)が原因で夜中に泣き続けるケースもあります。
「いつもと泣き方が違う」「熱がある」「昼間も機嫌が悪い」といったサインがあるときは、体調不良が原因の可能性があるので、かかりつけ医に相談してみてください。夜泣きと病気による泣きを見分けるポイントは、「日中の様子に変化があるかどうか」です。
実際に効果があった対処法・試してみてほしいこと
泣き始めたらすぐ動かない・少し待つ
これは私が一番驚いた方法です。泣き声が聞こえたとき、反射的に飛び起きていたのですが、あるとき試しに1〜2分だけ様子を見てみたら、そのまま泣き止んで寝てしまったのです。
前述の通り、浅い眠りのサイクルで泣くことがあるので、すぐに介入するとかえって完全に目覚めさせてしまうことがあります。泣き声が徐々に大きくなっているのか、少し待っていたら落ち着いてきているのかを確認してから動く、という習慣を持つだけで、夜泣きの回数が減るケースがあります。もちろん、激しく泣き続けているときはすぐに行ってあげてください。
寝る前の環境・ルーティンを整える
夜泣きを完全になくすことは難しいですが、「起きやすい状況」を減らすことはできます。私が意識したのは次の3つです。
まず、寝室の温度と湿度です。赤ちゃんは体温調節が未熟なので、暑くても寒くても眠りが浅くなります。室温は20〜22度前後、湿度は50〜60%を目安にすると落ち着きやすいです。
次に、寝る前の刺激を減らすことです。就寝1時間前からテレビやスマホの画面を消す、照明を暗くする、声のトーンを落とすなど、「もうすぐ寝る時間だよ」という雰囲気を作ります。入浴→授乳(または飲み物)→絵本→消灯、のような決まったルーティンがあると、子どもの脳が「次は眠る番だ」と予測できるようになります。
そして、入眠時の状況と眠り中の状況をできるだけ一致させることも大切です。たとえば「抱っこで寝落ちして布団に置かれた赤ちゃん」は、眠りが浅くなったとき「あれ、さっきと状況が違う!」と感じて泣くことがあります。なるべく布団の上で眠りにつく練習を少しずつしていくと、夜中に目が覚めたときも自分で寝直しやすくなります。
夜泣き中の対応・抱っこ以外の選択肢も持つ
夜泣きのたびに抱っこして授乳して…というのは、体力的に本当につらいです。もちろん抱っこや授乳で泣き止むならそれで全く問題ないのですが、それ以外の手段も持っておくと少し楽になります。
私が試した中で効果があったのは、背中をトントンしながら低い声で「大丈夫だよ、ここにいるよ」と繰り返すことです。内容が伝わるかどうかより、声のトーンと温度が伝わると落ち着いてくれることがありました。
また、白色雑音(ホワイトノイズ)も試してみる価値があります。換気扇の音、雨の音、砂嵐のような音が、子宮の中にいたときの音環境に近いとされており、泣き止む子も多いです。スマートフォンのアプリで無料で試せるので、一度やってみてください。
おくるみで体を包む「スワドリング」も、生後3〜4ヶ月頃まではモロー反射(びっくりして手足を広げる反射)を抑えてよく眠れるケースがあります。月齢に合った方法を選んでみてください。
パパの関わり方・夫婦で乗り越えるためのヒント
夜泣き対応を分担する具体的な方法
夜泣き対応で一番つらいのは、「一人で全部やっている」と感じる孤独感だと思います。授乳中のママはどうしても夜の対応が多くなりますが、それ以外の部分でパパが動ける余地は必ずあります。
たとえば、「授乳以外の夜泣き対応はパパ担当」にする、「週末の夜はパパがメインで対応してママに寝てもらう」にするなど、役割を決めておくだけで精神的な負担がぐっと違います。「声をかけてくれたらいつでも手伝う」という受け身の姿勢より、「水曜と金曜の夜は自分が起きる」のように具体的に決めておく方がうまく機能します。
パパが「自分には何もできない」と思ってしまうことがありますが、赤ちゃんはパパの抱っこでも安心します。最初は泣き止まなくても、毎晩関わり続けることで子どもはパパのことを安心できる存在として覚えていきます。
ママが自分を責めないために知ってほしいこと
夜泣きがひどいと、「私の育て方が悪いのかな」「母乳の質が悪いのかな」「愛情が足りないのかな」と自分を責めてしまうことがあります。私もそうでした。でも、夜泣きはほぼ全ての赤ちゃんが通る道であり、育て方や愛情の量とは関係ありません。
「今夜も泣いてしまった」ではなく、「今夜も泣いたけど、ちゃんと対応できた」と視点を変えてみてください。毎晩夜泣きに対応しているだけで、十分すごいことをしています。完璧に泣き止ませなくてもいい。そこにいてあげることが一番大切です。
もし夜泣き対応が続いて自分が限界に近いと感じたら、昼間に赤ちゃんと一緒に横になる「一緒に昼寝」を取り入れてください。家事は後回しで構いません。親が消耗してしまっては、長い子育てが続きません。
こんなときは一人で抱え込まず相談を
医療機関や専門家に相談するタイミング
夜泣き自体は病気ではないので、基本的にはいつか自然に落ち着きます。ただし、以下のような場合は小児科や保健センターに相談することをおすすめします。
泣き方が「いつもと全然違う」「絶叫するように泣き続ける」場合は、中耳炎、腸重積(腸が重なってしまう病気)などの身体的な原因が隠れている可能性があります。特に腸重積は突発的に激しく泣く→しばらく落ち着く→また激しく泣くというパターンが特徴で、早めの受診が必要です。
また、1歳を過ぎても夜泣きが全く改善しない、ひどくなっている、と感じるなら、睡眠の専門家や小児科医に相談してみてください。睡眠の改善を専門とする助産師や医師も増えてきているので、「相談していい場所」として覚えておいてください。
地域のサポートや先輩ママとのつながりを活かす
夜泣きの悩みは、インターネットで調べても解決しないことが多いです。情報が多すぎて逆に混乱したり、「うちの子だけおかしいのでは」と不安になったりすることもあります。
地域の子育て支援センターや保健センターでは、保健師や助産師が無料で相談に乗ってくれます。「こんなことで来てもいいのかな」と思わずに、気軽に利用してみてください。実際に同じ月齢の子を持つ親同士でつながれる場所でもあり、「うちもそうだよ!」という一言で気持ちが楽になることは本当に多いです。
私自身、支援センターで「うちも毎晩3回は起きてるよ」と話してくれたママの存在に、どれだけ救われたか分かりません。一人で抱え込まないことが、夜泣き期間を乗り越える一番の力になります。
夜泣きは、終わりがあります。今夜も泣いたとしても、あなたの対応は間違っていません。子どもはちゃんと成長しています。どうか自分を責めずに、今夜も一緒に乗り越えていきましょう。
Photo by Gabriel Tovar on Unsplash