最終話を観終えた夜、しばらく画面を閉じられなかった。2025年冬クール『ダンダダン』第2クール レビュー
結論
2025年冬クール放送の『ダンダダン』第2クール(第2期第1クール、全12話)は、オカルトとラブコメを同時に成立させることに成功した、近年でも稀なアニメだった。作画の密度と音響演出は話数を重ねるごとに上がり、最終話はシーズン全体の伏線を綺麗に回収した。UFO・オカルトが好きでも、青春群像劇が好きでも入れる間口の広さも評価できる。
最終話の翌朝でも冷めなかった熱
最終話を観終えた翌朝も、OP映像の映像が頭から離れなかった。
Science SARU制作のアニメは絵が動くたびに「ここまでやるの?」という驚きがある。『ダンダダン』第2クールを12話ぶん追いかけて、ぼくが一番感じたのはその手触りだった。
正直、第1クール放送時点ではまだ半信半疑だった。原作漫画(集英社『少年ジャンプ+』連載、竜幸伸著)はすでに読んでいたので展開は知っていた。でも「このテンションをアニメが維持できるか」は別の問題だからだ。
結果として、第2クールは第1クールより密度が増した。理由はこのあとに書く。
作品概要。UFOとオカルトと、恥ずかしいくらいの青春
『ダンダダン』は2023年10月から集英社『少年ジャンプ+』で連載中の漫画を原作とする。作者は竜幸伸。アニメ第1クールは2024年10月〜12月放送、第2クールは2025年1月〜3月の冬クールに放送された(全話Netflixほかで配信)。
主人公のモモ(高中桃花)とオカルンこと高倉健は「宇宙人はいる」「幽霊はいる」という真逆の主張からスタートし、互いの信じるものを証明しようとするうちに本物のオカルトに巻き込まれていく。
補足
原作は2026年5月時点で単行本20巻以上刊行済み(集英社)。累計発行部数は1000万部を超えており(出典: 集英社公式発表、2025年)、ジャンプ+発の作品としては異例の速度で部数を伸ばしている。
アニメーション制作はScience SARU(代表作:『映像研には手を打つな!』『犬王』)。シリーズ構成は土代勇樹、キャラクターデザインは永田豊。主題歌は第1クールから引き続き、オープニングをCreepy Nuts「オトノケ」(第1クール)→「Âme」(第2クール)が担当、エンディングをスピッツが担当した。
🎯 第2クールの良かった点。作画・テンポ・感情の解像度
作画が崩れなかった
Science SARUの仕事で毎回驚かされるのは、アクション作画の「間」の取り方だ。第2クールでも、中盤のターボ婆戦、終盤のオカルン覚醒シークエンスは、コマ間を読者が想像する原作漫画とはまた別の体験を提供した。
一般的に、2クール目は制作スケジュールの圧縮で作画品質が落ちるケースがある。しかし第2クールは最終3話にかけて原画枚数を積み増したことが画面から伝わってきた。
制作陣の発言ではないが、アニメーション業界の慣例として、力を入れる話数は枚数を前半から前借りしてくる。第2クールは後半に力をためた構成だったのが功を奏したと思う。
ラブコメとオカルトの比率がちょうどよかった
第1クールは「オカルトに引っ張られてラブコメが後回しになりがちだった」という意見もあった。ぼくも多少そう感じていた。
第2クールはその反省を反映したのか、モモとオカルンの関係変化に使う尺が増えた。特に第8話は戦闘描写をほぼなくし、二人の会話だけで構成する構成をとった。原作ファンからすると「あの話を丸ごと1話に膨らませたのか」という驚きがあった。
感情描写を拡張できるのはアニメオリジナル演出の強みで、この判断は正解だった。
音響演出の解像度
劇伴作曲は第1クールから引き続きKenichiro Suehiro(末廣健一郎)が担当。第2クールは戦闘シークエンスだけでなく、日常シーンにも生楽器の音を多用していた。
特に終盤、台詞のない場面でピアノ単音が入るタイミングの良さは、劇場作品に近い演出意識を感じさせた。音を聴くだけで感情の変化が追えるくらい、音楽と画面編集が噛み合っていた。
🤔 気になった点。中盤の尺配分と説明過多
中盤3話のテンポ低下
第4〜6話は新キャラの「アイラ」登場回と、霊との交渉パートが続く構成だった。原作ではテンポよく読み進められる部分だが、アニメは1話30分という尺に合わせて引き伸ばした印象がある。
ぼく自身はそこまで退屈ではなかったが、原作未読の人が第5話で「まだ続くの?」と感じた場合、そのまま離脱するリスクはあったと思う。
設定解説のナレーションがくどい
第2クールは新しいオカルト現象や霊の種類が増えたため、ナレーションによる設定解説が入る頻度も増えた。第1クールより説明的な台詞が多い印象で、「見せて伝える」演出よりも「言葉で説明する」演出が増えた部分が気になった。
これは原作の情報量が多くなることによる構造的な問題でもある。シーズン3に向けてどう解決するか、注目したい。
注意
本レビューは第2クール(2025年冬放送)の内容に基づいており、原作漫画の展開には一部触れていますが、アニメ放送済みの範囲のみ記述しています。原作最新話のネタバレは含みません。
こんな人におすすめ。間口は広く、刺さる人には深く刺さる
この記事のポイント
- Science SARUの作画密度は第2クールで一段上がった
- ラブコメとオカルトのバランスは第1クールより改善されている
- 中盤の尺配分に若干の緩みがあるが、終盤3話は全体のなかでも特に完成度が高い
- 原作未読でも入れる設計だが、第1クールから視聴するのが前提
アニメから入った人への案内
第2クールを観終えて「もっと先が読みたい」なら、単行本で続きを追うのが今の段階では一番早い。アニメ第3クールの制作発表は2026年5月時点で公式から出ていない(Netflixジャパン公式サイト、2026年5月確認)。
原作では第2クール終了時点の続きにあたる部分から、物語のスケールがさらに広がる。単行本を手に取るハードルは低く、ぼくはジャンプ+アプリで最初の数話が無料で読めることを確認している(2026年5月時点、集英社『少年ジャンプ+』アプリ)。
こんな人にすすめたい
「深夜アニメは難しそうで敬遠していた」という人でも、本作は受け入れやすい。高校生の日常から始まり、怖い描写よりもコミカルな展開が多い。
一方で「アニメはキャラが可愛ければいい」という見方では少し物足りないかもしれない。本作の魅力は「二人が成長するにつれて関係性が変わっていく質感」にあるので、物語の流れを追う姿勢があると数倍楽しめる。
SF・オカルト好き、青春群像劇好き、Science SARU作品のファン、この三つのどれかに当てはまる人には特に合うと思う。
※本記事は2026-05-24時点の情報に基づきます。価格・配信状況・上映情報は変更されることがあります。
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まとめ。第3クールを待つ準備ができた
- 作画・音楽・感情描写の三つが揃った状態で第2クールは完走した。終盤の3話は特に水準が高く、1クールの締め方として申し分なかった。
- 気になった点は中盤のテンポと説明過多の台詞だが、シリーズとして見ればプロット整理のためのフェーズだったとも解釈できる。
- 原作の先が気になるなら、単行本かジャンプ+アプリで続きを追うのが現状の最善手。
第3クールの制作発表を、今は静かに待っている。ぼくはこのシリーズを、最後まで追うつもりだ。
Photo by Luca Nicoletti on Unsplash