紙の漫画しか読んだことがない人へ

「電子書籍って便利そうだけど、なんとなく手を出せていない」という方は、意外と多いのではないでしょうか。スマホやタブレットで漫画が読めると聞いても、「本当に読みやすいの?」「データが消えたりしない?」「そもそもどうやって買うの?」と疑問が次々に浮かんできて、結局いつも本屋さんで紙の本を買ってしまう。そんな方のために、電子書籍で漫画を読むことのメリットとデメリットを、できるだけ正直にお伝えしていきます。

「電子書籍はとにかく便利!」と一方的に褒めるつもりはありません。紙の漫画には紙にしかない良さがあり、電子書籍には電子書籍ならではの弱点もあります。両方をきちんと理解したうえで、自分に合った読み方を選んでほしいのです。

電子書籍で漫画を読む5つのメリット

1.本棚がいらない。部屋が片付く

漫画好きにとって、本棚問題は永遠の悩みのひとつです。好きな作品を集めていると、あっという間に棚がいっぱいになり、新しい棚を買い、それもいっぱいになり……という経験をされた方も多いでしょう。電子書籍なら、何百冊・何千冊買っても物理的なスペースはゼロです。スマホ1台の中に、図書館並みの本棚が入ってしまうわけです。

これは特に「部屋が狭い」「引っ越しが多い」「家族に漫画の量を注意されている」という方にとって、かなり大きなメリットになります。引っ越しのときに段ボール何箱分もの漫画を運んだ経験がある方なら、その解放感がよくわかるはずです。

2.続きがすぐ読める。深夜でもすぐ買える

紙の漫画を読んでいて「続きが気になるのに本屋が閉まってる!」という経験はありませんか?電子書籍であれば、深夜0時でも、旅先のホテルの中でも、スマホさえあれば即座に購入して読み始めることができます。

特に一気読みをしたいときには、この即時性が本当に助かります。1巻を読み終えて「面白い!2巻が読みたい!」と思った瞬間に、2巻を買えてしまうのです。紙の本を買いに行く手間も時間もかかりません。夜中にどんどん読み進めてしまって、気づいたら朝になっていた……という経験が増えるかもしれませんが、それもまた漫画の醍醐味ですよね。

3.試し読みができる作品が多い

電子書籍の多くのサービスでは、1巻の冒頭数話を無料で試し読みできる機能があります。「気になるけど、面白いかどうかわからなくて買いづらい」という作品でも、まず読んでみてから購入を判断できるのは大きなメリットです。

本屋さんでも立ち読みはできますが、長時間立って読むのは気が引けるという方も多いでしょう。電子書籍の試し読みは自宅でゆっくり、自分のペースで確認できます。これがきっかけで思わぬ名作に出会えることも少なくありません。

4.セールや割引が頻繁にある

電子書籍サービスでは、定期的に大きなセールが開催されます。「全巻50%ポイント還元」「1〜3巻が無料」「特定ジャンルが割引」といったキャンペーンが頻繁に行われており、うまく活用すると紙の本より大幅にお得に読めることがあります。

特に長編作品の場合、全巻揃えると紙ではかなりの金額になりますが、電子書籍のセールを利用すれば半額以下で購入できることもあります。焦って定価で買わず、セールを待つという楽しみ方もできるわけです。ただし「気になったときにすぐ読みたい!」という衝動買い派の方には、この待つという行為がなかなか難しかったりもしますが(笑)。

5.検索・管理がしやすい

「あのシーン、何巻の何話だったかな?」と探すとき、紙の本だと何冊もめくって探さなければなりませんが、電子書籍ならセリフや単語で検索できるサービスもあります。また、購入した作品の一覧が自動で管理されるため、「あの漫画買ったっけ?」と二重買いをしてしまうミスも減ります。

大量の漫画を持っている方にとって、この管理のしやすさはじわじわと効いてきます。読んだ・読んでいないの管理もアプリ上でできるものが多く、積読(買ったけど読んでいない本)の管理にも役立ちます。

電子書籍で漫画を読む4つのデメリット

1.「本を所有している」感覚が薄い

電子書籍の最大の弱点のひとつが、この「所有感のなさ」です。紙の漫画は手に取れて、本棚に並べて、背表紙を眺めてニヤニヤできる(これ、漫画好きなら共感してもらえるはずです)という喜びがあります。お気に入りの作品を大切に保管し、何年も手元に置いておける安心感があります。

一方、電子書籍は厳密には「データを読む権利を購入している」という形になります。サービスが終了した場合や、利用規約の変更によっては、購入したはずの本が読めなくなるリスクがゼロではありません。実際に過去にはいくつかの電子書籍サービスが終了し、購入者が困ったケースもありました。大手サービスを選ぶことでリスクは下がりますが、「紙の本のように半永久的に手元に残る」とは言い切れないのが正直なところです。

2.画面での読書が目に負担をかけることがある

スマホやタブレットの画面を長時間見ていると、目が疲れやすいという方は多いです。特に夜、暗い部屋でスマホで漫画を読み続けると、目への負担はかなりのものになります。

紙の漫画は光を反射して読む「反射光」で読みますが、スマホやタブレットは画面自体が光っている「透過光」で読みます。この違いが長時間読書での疲れ目に影響すると言われています。電子書籍専用の「E Inkリーダー(電子ペーパー端末)」を使えばこの問題はかなり軽減されますが、漫画はフルカラーの作品も多いため、白黒表示がメインのE Inkリーダーとは相性が悪い場合もあります。

「漫画を読むなら明るい場所で、適度に休憩を挟みながら」というのは、電子書籍ならではの注意点として意識しておくといいでしょう。

3.貸し借りができない

「面白かったから友達に貸す」「家族と回し読みする」という楽しみ方が、電子書籍では基本的にできません。一部のサービスには「家族間での共有」機能がありますが、紙の本のように気軽に「はい、これ読んでみて」と手渡しするわけにはいきません。

漫画好き同士の交流として「これ絶対好きだと思うよ!」と本を貸し合うのは、読書の楽しみのひとつでもあります。その楽しみ方は、電子書籍では失われてしまいます。「友達に布教したい!」という熱い漫画愛をお持ちの方には、この点はかなりのデメリットになるかもしれません。

4.スマホの充電やネット環境が必要

電子書籍を読むには、端末のバッテリーが残っていることと、基本的にはある程度のネット環境が必要です(ダウンロードしておけばオフラインでも読めますが、初回購入時はネット接続が必須です)。

旅行中に「スマホの充電が切れて読めない!」「電波が届かないところでダウンロードしていない巻が読めない!」という状況になると、紙の本ならそんな心配はなかったのに……と感じるでしょう。インフラに依存しているという意味では、紙の本の「シンプルさ」には勝てません。

紙と電子書籍、どう使い分けるのが賢いか

メリット・デメリットを見てきたところで、「じゃあどちらを選べばいいの?」と思った方も多いでしょう。実は多くの漫画好きな人たちは、紙と電子書籍を「使い分けている」ことが多いです。どちらか一方に絞らなくていいのです。

たとえば、「特別好きな作品は紙で集めて本棚に飾る。話題になっている作品や試し読みしたいものは電子書籍で」という使い方はよくあるパターンです。大切にしたいコレクションとしての漫画は紙で、気軽にサクッと読む漫画は電子書籍で、と役割を分けるわけです。

また、「外出先や移動中は電子書籍、家でゆっくり読むときは紙」という時間帯・場所による使い分けも便利です。スマホ1台あれば電車の中でも読めますし、帰宅後は好きな漫画を手に取ってページをめくる……という楽しみ方ができます。

「長編作品は電子書籍、短編や読み切りは紙」という選び方もあります。全50巻を超えるような長編作品をすべて紙で揃えると、保管場所もお金もかなりかかります。そういった長編こそ、電子書籍の利便性が際立ちます。

電子書籍を始めるときに知っておきたいこと

サービス選びは慎重に

電子書籍サービスはいくつも存在しており、それぞれラインナップや価格、使い勝手が異なります。サービスが終了するリスクを考えると、利用者数が多く運営が安定している大手サービスを選ぶのが無難です。また、読みたい作品が配信されているかどうかを事前に確認することも大切です。「このサービスで全部読める」と思って登録したのに、肝心の作品がなかった……という事態を防ぎましょう。

まずは無料作品や試し読みから試してみる

電子書籍が初めてという方は、いきなりお金を使わなくても大丈夫です。多くのサービスでは無料で読める作品が豊富に用意されていますし、アプリ自体も無料でダウンロードできます。まずは「使い勝手を確かめる」つもりで、無料作品から触れてみてください。操作に慣れてから、気に入った作品を購入すれば十分です。

スマホで読むなら画面の大きさに注意

漫画は文字だけでなく、絵の細かいところを楽しむものです。スマホの小さな画面では、細かい描写やセリフが読みにくいと感じることがあります。可能であれば、タブレット端末で読むとより快適です。スマホしか持っていない場合は、ページを拡大しながら読む機能(ピンチイン・ピンチアウト)を活用すると読みやすさが上がります。

電子書籍は「入口」として使うのもおすすめ

電子書籍のもうひとつの使い方として、「新しい作品との出会いの場」としての活用があります。試し読みや無料配信で気になる作品をどんどん試してみて、「本当に好きだ!手元に置きたい!」と感じた作品だけ紙の本で買い直す、という方もいます。

これは決して贅沢な二重払いではなく、電子書籍で出会いのチャンスを広げて、特に好きな作品だけ紙でコレクションするという理にかなった楽しみ方です。漫画の世界は広く、まだ知らない名作が無数に存在しています。電子書籍はそんな未知の作品への扉を開く道具としても、とても優れているのです。

読む楽しさは、媒体を選ばない

電子書籍も紙の漫画も、どちらも「漫画を楽しむための手段」にすぎません。どちらが優れているとか劣っているとかではなく、それぞれの良さと弱点を理解したうえで、自分のライフスタイルや好みに合わせて選べばいいのです。

大事なのは「読みたい漫画を、読みたいときに、気持ちよく読めるかどうか」です。その答えは、人によって、また作品によっても変わってきます。「電子書籍が怖い」「よくわからない」という気持ちがある方も、まずは無料の試し読みからだけでも試してみてください。思ったより簡単で、思ったより快適だと感じていただけるはずです。

紙の漫画で培ってきた読書の楽しさは、電子書籍でも変わらず味わえます。むしろ、選択肢が増えることで、漫画との付き合い方がもっと豊かになっていくはずです。

Photo by Kyle Hinkson on Unsplash