あなたのZoom、本当に使いこなせていますか?
「とりあえずZoomでつないで会議してる」という方、実は多いのではないでしょうか。ビデオ会議ツールとして広く普及したZoomですが、多くの人が使っているのは全機能のうちほんの一部だけです。
バーチャル背景は設定している、ミュートの使い方はわかる……でも、「音が割れて聞こえにくいと言われた」「画面共有中に手書きで説明したい」「参加者が多いときに誰が話しているかわからなくなる」こんな悩みを抱えていませんか?
シュナウザー博士がここで解説するのは、Zoomの「隠れた設定」と「知ると会議の質がぐっと上がる機能」です。初心者の方でも順番に読み進めれば、明日の会議から即実践できるように説明していきますよ。
まず押さえたい「設定画面」の開き方
Zoomアプリを開いたとき、右上にある歯車マーク(⚙)をクリックしてみてください。これが設定画面の入り口です。Webブラウザ版(zoom.us)でも設定はできますが、アプリ版の設定のほうが細かく調整できる項目が多いので、まずはアプリから開く癖をつけましょう。
設定項目は「一般」「ビデオ」「オーディオ」「画面の共有」など複数のカテゴリに分かれています。ここをきちんと設定しておくだけで、毎回の会議でのトラブルがぐっと減ります。それでは、特に重要な設定をひとつひとつ見ていきましょう。
音質を劇的に改善する「オーディオ設定」
Zoomで「声が聞こえにくい」「エコーがひどい」というトラブルの原因のほとんどは、オーディオ設定の見直しで解決できます。
マイクとスピーカーのテストをしておこう
設定の「オーディオ」タブを開くと、「スピーカーのテスト」と「マイクのテスト」ボタンがあります。会議前にここで音声確認をしておくのが基本中の基本です。「なんか聞こえにくい」と言われてから慌てるより、事前に確認しておけば安心です。
使用するデバイスも、ここで明示的に選んでおきましょう。パソコンにイヤホンを接続した直後にZoomを起動すると、内蔵マイクとイヤホンのどちらを使うか迷子になることがあります。きちんと指定しておくだけで、音トラブルの多くが防げます。
「バックグラウンドノイズの抑制」は必ず確認
オーディオ設定の中に「バックグラウンドノイズの抑制」という項目があります。これはAI技術を使って、キーボードのタイピング音・空調の音・周囲の雑音を自動的に除去してくれる機能です。
設定レベルは「自動」「低」「中」「高」から選べます。在宅勤務で子どもの声や生活音が入りやすい環境なら「高」にしておくのがおすすめです。一方で、楽器演奏やオンライン講師など「音楽や特定の音をきれいに届けたい」場合は、ノイズ抑制が邪魔をすることがあります。そのときは設定を「低」にするか、オフにしてみてください。
「ステレオ音声を有効にする」と「オリジナルサウンド」
音楽配信や音質にこだわりたい方向けに、「ステレオ音声を有効にする」という設定もあります。通常のZoom会議はモノラル(左右同じ音)ですが、これを有効にすると左右の音の広がりが出て、より高品質な音声になります。あわせて「高忠実度の音楽モード(オリジナルサウンド)」をオンにすることで、Zoomの音声加工を最小限にした生の音に近い状態で届けられます。
見た目の印象を上げる「ビデオ設定」
カメラ映りは、オンライン会議での「第一印象」に直結します。設定を少し変えるだけで、かなり印象が変わりますよ。
「外見を補正する」でナチュラルに明るく
ビデオ設定の中に「外見を補正する」というオプションがあります。いわゆるビューティーフィルターで、肌のトーンを整えて自然に明るく見せてくれます。過度に加工されるわけではなく、ちょうどよい「写りのよさ」を実現してくれる便利な機能です。照明環境が整っていない場所でのWeb会議のときに特に効果を発揮します。
「低照度を調整する」で暗い部屋でも見やすく
夜の会議や、窓のない部屋での参加が多い方に重宝するのが「低照度を調整する」設定です。カメラに映る映像を自動的に明るく補正してくれます。「自動」にしておけば、暗くなったときだけ補正が入るので、通常時は自然な映像を保てます。
バーチャル背景とブラーの使い分け
バーチャル背景(仮想背景)は、部屋の様子を映したくないときに背景を別の画像に変えられる機能です。ただし、グリーンバック(背景が緑色の幕)なしで使うと、髪の毛の輪郭がぼやけたり、体の一部が消えたりすることがあります。
そこでおすすめなのが「背景をぼかす(ブラー)」機能です。背景全体をぼかすだけなので、人物の輪郭がくっきりしたまま自然に見えます。背景に何があるかを隠しつつも、不自然さを感じさせない優れた機能です。設定ではなく会議中に「^」矢印からも切り替えられます。
会議を円滑に進める「便利機能」を活用しよう
画面共有中に使える「注釈(アノテーション)」機能
画面を共有しながら説明するとき、「この部分です!」と言葉だけで伝えるのは意外と難しいですよね。そんなときに使えるのが「注釈(アノテーション)」機能です。
画面共有中にZoomのツールバーから「注釈」を選ぶと、ペン・矢印・テキスト・スタンプなどの描画ツールが表示されます。直接画面に書き込んで「ここです!」と示せるので、説明の精度が格段に上がります。参加者側も注釈を使えるよう設定することもできるので、インタラクティブなプレゼンやワークショップに活用できます。
注釈を使い終わったら「消去」ボタンで書き込みを削除できます。共有終了後は元の画面に戻るので、プレゼン資料が落書きだらけになる心配はありません。
「ブレイクアウトルーム」でグループワークを効率化
ブレイクアウトルームとは、大人数の会議を一時的に小グループに分ける機能です。たとえば20人で全体会議をしながら、必要に応じて4〜5人ずつの小部屋に分かれてグループ討議ができます。終わったら全員をメインルームに戻せる、使い勝手の良い機能です。
この機能を使うには、事前にZoomのWeb設定(zoom.us)から「ブレイクアウトルーム」を有効にしておく必要があります。有効化すると、会議中のツールバーから「ブレイクアウトルーム」ボタンが現れます。ルームの数は最大50まで作れ、参加者の振り分けは自動・手動・参加者が自分で選ぶ、の3パターンから選べます。
研修・セミナー・ワークショップを主催する方には特に強力な武器になります。
「リアクション」と「手を挙げる」で発言調整をスムーズに
大人数の会議では「発言したいけどタイミングが掴めない」という問題が起きがちです。そんなときに活躍するのが「手を挙げる」機能です。
画面下のツールバーにある「リアクション」から「手を挙げる」を選ぶと、自分の名前の隣に手のアイコンが表示されます。ホスト(主催者)側には参加者リストで誰が手を挙げているかが一覧表示されるので、発言の順番を整理しやすくなります。発言が終わったら「手を下ろす」で解除できます。
また、👍(いいね)や😂(笑い)などの絵文字リアクションも会議を和ませるのに便利です。意見に同意するときに無言で「👍」を出すだけで、コミュニケーションがスムーズになります。
「字幕・文字起こし機能」で聞き取りにくさを解消
Zoomには、話した内容をリアルタイムで字幕表示する「ライブ文字起こし(自動字幕)」機能があります。英語ではかなりの精度で動作し、日本語対応も進んでいます。
聴覚に不安がある参加者がいるとき、外国語での会議のとき、あるいは単純に音声が聞き取りにくい環境のときに大変役立ちます。ホスト側が設定でこの機能を有効にすると、参加者が「字幕を表示する」ボタンで字幕をオン・オフできるようになります。
さらに、会議後に文字起こしデータをテキストファイルとして保存する機能もあります。議事録作成の手間が劇的に減るため、ぜひ活用してほしい機能のひとつです。
セキュリティ設定で「Zoombomb」を防ごう
Zoombomb(ズームボム)とは、関係のない第三者が会議に乱入してくる迷惑行為のことです。会議リンクが外部に漏れた場合に発生しやすく、企業の機密情報が映っている画面に赤の他人が突然現れるというトラブルも実際に起きています。
「待合室(ウェイティングルーム)」を必ず有効に
待合室とは、参加者が会議に入ろうとしたとき、すぐには入室させずにホストが承認するまで待たせる機能です。ホストが「入室を許可」するまで、参加者は待合室に留まります。
この機能を有効にするだけで、不審な参加者をシャットアウトできます。社内会議・取引先との商談・プライベートな勉強会など、基本的には常にオンにしておくことをおすすめします。設定は「セキュリティ」タブまたはWeb設定から変更できます。
「パスコード(パスワード)」を設定する
会議リンクにパスコードを設定しておくと、リンクを知っていてもパスコードがわからない人は入れません。招待する相手にはリンクとパスコードをセットで伝えましょう。最近のZoomではリンクにパスコードが埋め込まれる形式(URLにコードが含まれる)になっているため、リンクを共有するだけで参加できる形にもできます。
ホスト以外の「画面共有を制限する」
参加者が自由に画面共有できる状態にしておくと、意図せず別のウィンドウが映り込んだり、場合によっては悪意ある参加者に悪用されたりすることがあります。
会議中のツールバーにある「画面の共有」の「^」矢印から「高度な共有オプション」を開くと、「共有できるのは誰ですか?」という項目が表示されます。ここを「ホストのみ」に変更すると、ホスト以外は画面共有できなくなります。プレゼン形式の会議や、大人数のウェビナー(インターネットを使ったセミナー)では、この設定をしておくと進行が安定します。
もっと便利に使うための「隠れた設定」3選
①スペースキーで一時ミュート解除
自分がミュート中にスペースキーを長押しすると、押している間だけミュートが解除されます。発言が終わったら離すだけでまたミュートに戻ります。いちいちミュートボタンをクリックしなくていいので、テンポよく発言したいときに非常に便利なショートカットです。
②会議の自動録画設定
Zoomには会議を録画する機能があります(ローカル保存またはZoomクラウドへの保存)。ホスト側の設定で「会議開始時に自動録画する」をオンにしておくと、録画開始を忘れる心配がなくなります。後から見返せる議事録として重宝しますよ。クラウド保存はZoomの有料プランが必要ですが、ローカル(自分のパソコン内)への保存は無料プランでも利用できます。
③「フォーカスモード」で集中できる環境を
フォーカスモードとは、参加者が互いのカメラ映像を見えないようにして、ホストとの画面だけに集中できるモードです。オンライン授業やトレーニングセッションで、生徒同士の映像が気になって集中できない…という場面に最適です。ホストがツールバーの「詳細」から「フォーカスモードを開始する」で起動できます。
まとめ:設定は「一度やれば一生使える投資」
Zoomの設定は、最初に時間をかけてきちんと整えておけば、その後の会議がすべて快適になります。音が悪い、映りが暗い、乱入されるかもしれないという不安……これらはすべて設定で対処できます。
今回紹介した内容を整理すると、こうなります。
- オーディオ設定でマイク・スピーカーを確認し、ノイズ抑制を設定する
- ビデオ設定で外見補正・低照度調整・背景ぼかしを活用する
- 注釈・ブレイクアウトルーム・手を挙げる機能で会議を活性化させる
- 待合室・パスコード・共有制限でセキュリティを強化する
- スペースキーの一時解除・自動録画・フォーカスモードで効率を上げる
Zoomは「ただつなぐだけのツール」ではありません。使いこなせば、対面会議に匹敵するほど密度の高いコミュニケーションが実現できます。ぜひ今日の会議前に、ひとつでも設定を見直してみてください。きっと「こんなに変わるの?」という発見があるはずです。
Photo by Dollar Gill on Unsplash