「資産形成」という言葉、なんとなくわかるけど何をすればいいかわからない

「老後のためにお金を増やさないといけないのはわかってる。でも、何から手をつければいいのかまったくわからない」

こんなふうに感じている方、すごく多いと思います。実際に、20〜40代の方からよく聞く悩みのひとつが「資産形成って言葉は知ってるけど、具体的に何をすればいいか全然わからない」というものです。

銀行に預けっぱなしじゃいけないのかな、でも投資って怖そう、そもそも毎月いくら貯めればいいの?——そういった疑問が頭の中でぐるぐるしているうちに、気づけば何もしないまま時間が過ぎてしまう。

このページでは、資産形成を「もっとちゃんと考えたい」と思っている方に向けて、基本的な考え方から具体的な行動まで、できるだけ丁寧にお伝えしていきます。難しい専門用語はなるべく使わず、一緒に考えていくつもりで書きました。

そもそも「資産形成」って何をすることなの?

「資産形成」とは、一言でいうと将来のためにお金を積み上げていくことです。ただ貯金するだけでなく、そのお金を上手に運用して増やしていく、という意味も含んでいます。

たとえば毎月5万円を銀行口座に入れるだけでも、ゆっくりとお金は増えていきます。でも今の銀行の金利はほぼゼロに近い状態なので、20年後も「預けた分がそのままある」程度の話になってしまいます。

一方で、同じ5万円を投資信託などで運用した場合、年率3〜5%程度で増えると仮定すると、20年後には元本の1.5〜2倍以上になる可能性があります。もちろん投資にはリスクもありますが、「長い時間をかけてお金に働いてもらう」というのが資産形成の本質的な考え方です。

資産形成と「ただの貯金」はどう違う?

貯金は、使う予定のあるお金や、いざというときの備えとして手元に置いておくお金です。これはこれで絶対に必要なものです。

資産形成は、それよりも少し先の未来——老後の生活費、子どもの教育資金、住宅購入の頭金など——に向けて、時間をかけてお金を育てていく行為です。

大切なのは「今すぐ使わないお金」と「将来のために育てるお金」を分けて考えること。この区別ができるようになると、資産形成の第一歩が踏み出せます。

資産形成を始める前に知っておきたいこと

いきなり「どの投資信託を買えばいい?」「株を始めるにはどこの証券会社がいい?」と考えてしまいがちですが、実はその前に整理しておくことがあります。

まず「生活防衛資金」を確保する

投資を始める前に、まず手元に「緊急時のための現金」を用意しておくことが大切です。一般的には、毎月の生活費の3〜6ヶ月分が目安とされています。

仕事を急に失ったり、大きな出費が重なったりしたときに、投資している資産を慌てて売らなくて済むように、あらかじめキャッシュを確保しておく。これが「生活防衛資金」です。

この資金が確保できていない状態でリスクのある投資を始めると、いざというときに「損が出ているのに売らざるを得ない」という最悪のパターンに陥りやすくなります。

自分の「目標」を決める

資産形成に取り組むうえで、「何のためにお金を増やしたいのか」を自分なりに言語化しておくのはとても重要です。目標が曖昧なまま始めると、ちょっと相場が下がっただけで不安になって途中でやめてしまいがちです。

たとえば——

  • 10年後の子どもの大学入学に向けて300万円を用意したい
  • 65歳までに老後の生活費として2000万円を準備したい
  • 5年後の住宅購入に向けて頭金を貯めたい

こんなふうに、「いつまでに」「いくら必要か」が明確になると、毎月いくら積み立てればいいか、どの程度のリスクを取ればいいかという方針が見えてきます。

自分のリスク許容度を知る

「リスク許容度」とは、要するに「どのくらいの損失なら気にせず持ち続けられるか」という感覚のことです。

投資の世界では、大きなリターンを狙うほどリスク(値動きの幅)も大きくなります。逆に安全を重視するほど、増えるスピードはゆっくりになります。

独身で毎月の生活費も安定している方と、住宅ローンを抱えながら子育て中の方では、当然リスクの取り方も変わってきます。「みんながやってるから」ではなく、自分の状況に合った方法を選ぶことが長続きのコツです。

資産形成の具体的な方法——何を使えばいいの?

「そろそろ本題を教えてほしい」という方のために、実際によく使われる資産形成の手段をひとつずつ見ていきましょう。

新NISA(少額投資非課税制度)

2024年から大幅にリニューアルされた新NISAは、今の日本における資産形成の「基本中の基本」といえる制度です。

通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。でもNISAを使うと、その利益がすべて非課税になります。たとえば100万円の利益が出ても、税金を払わずそのままもらえる、ということです。

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、年間最大360万円まで投資が可能になりました。長期でコツコツ積み立てる方法に向いており、投資初心者の方にとって最初の一歩として非常におすすめできる仕組みです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、老後のための資産形成専用の仕組みです。毎月一定額を積み立て、60歳以降に受け取れます。

最大の特徴は税制上の優遇が三重になっていること。掛け金が全額所得控除になる、運用中の利益が非課税、受け取り時にも控除が使える——という具合に、節税効果がかなり大きいのが魅力です。

ただし、60歳まで原則として引き出せないという制約があります。老後資金として割り切って積み立てるには非常に優れた手段ですが、「もしかしたら途中で使うかも」というお金には向きません。

投資信託・インデックスファンド

投資信託とは、多くの人からお金を集めて、専門家が株式や債券などに分散投資してくれる金融商品です。1本買うだけで、世界中の数百〜数千の企業に分散投資できるので、リスクを抑えながら運用できるのが大きな利点です。

なかでも「インデックスファンド」と呼ばれる種類は、日経平均株価やS&P500(アメリカの代表的な株価指数)に連動するように設計されており、コストが低く、長期投資に向いています。新NISAの積み立て先として、このインデックスファンドを選ぶ方が多いのはそういう理由からです。

高配当株投資

配当利回りの高い株式を保有して、毎年の配当金を収入として得る方法です。株価の値上がり益を狙うよりも、「保有しているだけで定期的にお金が入ってくる」という感覚を大切にする投資スタイルです。

老後に向けて「配当収入という安定したキャッシュフロー」を作りたい方に向いています。一方で、個別株投資はどの銘柄を選ぶかの判断が必要になるため、ある程度の知識と経験が必要です。

よくある「資産形成の失敗パターン」と、その避け方

資産形成に取り組む方が陥りやすい失敗を知っておくことも、長く続けるうえでは大切です。よくあるパターンをいくつか見てみましょう。

「一発逆転」を狙ってしまう

「短期間で大きく増やしたい」という気持ちはとてもよくわかります。でも、高リターンを謳う商品ほど、それだけ高いリスクを伴っています。

資産形成の基本は「長期・積立・分散」です。時間をかけてコツコツ積み上げていく方法は、地味に見えますが実はとても強力です。短期的な株価の上下に一喜一憂せず、長い目で見ることが大切です。

相場が下がったときにやめてしまう

積み立て投資を始めた後、相場が下がると「このままでいいのか」と不安になる方は多いです。でも実は、相場が下がっているときこそ同じ金額でより多くの口数を買えるため、長期的にはプラスに働くことが多いのです。

これを「ドルコスト平均法」と言います。毎月一定額を積み立てることで、高いときには少なく、安いときには多く買える仕組みになっており、平均購入コストを下げる効果があります。

「まとまったお金ができてから始める」と先延ばしにする

「もう少し貯まったら始めよう」と思っているうちに、気づけば5年、10年と経ってしまう——これが資産形成における最大のリスクのひとつです。

投資において「時間」は最強の味方です。複利の効果(増えた分がさらに増えていく雪だるま式の仕組み)は、早く始めるほど恩恵が大きくなります。月1000円からでも、今日から始めることに意味があります。

資産形成をどう「継続」するか——習慣化のコツ

資産形成は、一度仕組みを作ってしまえば、あとは基本的に「放っておける」ようにできるのが理想です。

自動積み立てを設定する

毎月の積み立て額を決めたら、自動引き落としで投資信託を購入する設定をしてしまいましょう。「毎月考えなくてもいい」状態を作ることで、三日坊主を防げます。新NISAもiDeCoも、自動積み立ての設定が簡単にできます。

「見すぎない」ことも大事

長期投資をしているのに、毎日スマホで資産残高を確認するのはおすすめしません。短期的な値動きに過剰反応してしまいがちになるからです。

月に1回、あるいは3ヶ月に1回程度チェックするくらいで十分です。「長期で持ち続ける」と決めたなら、短期的な上下はなるべく気にしない姿勢が、結果として良いパフォーマンスにつながります。

定期的に「見直し」をする

ただし、完全に放置しっぱなしもよくありません。年に1〜2回は、自分の資産の配分が当初の方針とズレていないか確認することをおすすめします。

ライフステージの変化(転職・結婚・出産・住宅購入など)に合わせて、積立額やリスクの取り方を調整していくことが大切です。

資産形成に「正解」はない。自分に合ったペースで

ここまで読んでいただいて、「思ったより考えることが多い」と感じた方もいるかもしれません。でも、最初から全部完璧にやろうとしなくて大丈夫です。

資産形成に唯一絶対の正解はありません。大切なのは「自分の状況・目標・性格」に合った方法を選ぶことです。

たとえば、投資の話が全然わからないうちは、まず新NISAでインデックスファンドの積み立てだけ始めてみる、というのでも十分です。それだけで多くの方の資産形成の土台は作れます。

「完璧にわかってから始めよう」は、先ほども書いたように最大の落とし穴です。わからなくてもとりあえず動いて、やりながら理解を深めていけばいい。そういうものだと思ってもらえると、少しハードルが下がるのではないでしょうか。

資産形成について、もう少し詳しく知りたい方へ

このページでは資産形成の全体像をお伝えしましたが、「もう少し具体的に知りたい」「特定のテーマをもっと深掘りしたい」という方に向けて、関連する記事を用意しています。

たとえば、新NISAの具体的な使い方、iDeCoの詳しい仕組み、高配当株投資の始め方など、それぞれのテーマを丁寧に解説した記事があります。気になるテーマからどうぞ。

最後に——焦らず、でも今日から動こう

資産形成は、マラソンに似ています。最初にどれだけ速く走り出すかより、途中で止まらずに走り続けられるかのほうがずっと大事です。

毎月少しずつ積み立てて、時間という最強の武器を味方につける。それが多くの人にとって、もっとも再現性の高い資産形成の方法です。

「何かしなきゃ」と思ってこのページを読んでくれた方は、それだけで十分スタートラインに立っています。あとは一歩だけ踏み出すだけです。新NISAの口座を開くだけでもいい、iDeCoを調べてみるだけでもいい。

小さな一歩が、10年後・20年後の大きな差になります。焦らず、でも今日からぜひ動いてみてください。

Photo by Josef Kali on Unsplash