節約しようと思って食費を削ったり、カフェを我慢したりしてみたものの、なぜか毎月の収支がほとんど変わらない──そんな経験をしたことはありませんか?

じつはその原因、見直していない「固定費」にあることがほとんどです。食費や外食費のような変動費と違って、固定費は一度見直せばその効果がずっと続く。毎月自動的に支出が減るので、我慢をしなくても貯まる家計に近づけるのが最大のメリットです。

この記事では、固定費を削減するための具体的な方法と、取り組む際の優先順位をていねいに説明します。「何をどこから手をつければいいかわからない」という方でも、読み終わったあとにはスモールステップで動き出せるはずです。

そもそも「固定費」とは何か

固定費とは、毎月ほぼ決まった金額が自動的に引き落とされる支出のことです。代表的なものを挙げると、家賃・住宅ローン、スマートフォン料金、電気・ガス・水道などの光熱費、保険料、車の維持費(ローン・駐車場・保険)、サブスクリプション(動画・音楽・アプリなど)といったものが含まれます。

変動費(食費・外食・衣服代など)は月によってバラつきがありますが、固定費は「何もしなくても毎月同じ金額が出続ける」点が特徴です。逆に言えば、一度削減できれば、手間なく毎月その恩恵を受け続けられます。

たとえば、スマートフォン料金を月5,000円下げられたとしましょう。それだけで年間6万円の節約になります。ラテマネー(小さな支出)を毎日頑張って削っても、こういった効果には及ばないことが多いのです。

まず家計の「固定費リスト」を作る

固定費の見直しを始めるとき、最初のステップは「自分の固定費を全部書き出すこと」です。意外と、自分でも把握できていないものが出てきます。

銀行口座の引き落とし履歴や、クレジットカードの明細を3ヶ月分さかのぼってみてください。毎月同じ日に、同じ金額が出ていくものが固定費です。サブスクリプション系は特に、「いつ入ったかも覚えていない」というものが混じっていることがよくあります。

書き出したら、各項目に「本当に使っているか?」「代替手段はあるか?」という2つの観点でチェックを入れてみましょう。これだけで、すぐに解約・変更すべきものが見えてきます。

削減効果が大きい固定費ベスト5

固定費の種類はいくつもありますが、削減インパクトが大きいものから手をつけるのが効率的です。以下に、優先度の高い5つを紹介します。

① スマートフォン料金

大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)をそのまま使い続けている場合、月額7,000〜10,000円前後かかっているケースは珍しくありません。これを格安SIM(MVNO)や、各キャリアのサブブランド(ahamo・povo・LINEMOなど)に切り替えるだけで、月3,000〜6,000円程度の削減が見込めます。

年換算すると3〜7万円。通話品質や通信速度に多少の違いはありますが、Wi-Fi環境が整っている自宅やオフィスにいる時間が長ければ、ほとんど気にならないという方も多いです。

乗り換えに手間がかかるイメージがあるかもしれませんが、今はオンラインで手続きが完結するサービスが増えていて、慣れれば30〜60分程度で完了します。

② 保険料

保険は「入りすぎ」になりがちな固定費の代表格です。新卒で就職したとき、結婚したとき、子どもが生まれたときなど、ライフイベントのたびに保険を追加していくと、気づけば月に2〜3万円以上払っているというケースもあります。

保険の役割は「自分では到底カバーできない大きなリスクに備えること」です。日本には公的保険(健康保険・労災・雇用保険など)が充実しているため、民間保険で二重三重にカバーしなくても、多くのリスクはある程度対応できます。

見直しのポイントは「掛け捨て型か貯蓄型か」「保障額が今の生活に見合っているか」「重複している保障はないか」の3点です。保険の整理は少し専門的な知識が必要なので、FP(ファイナンシャルプランナー)に無料相談できる窓口を活用するのもひとつの方法です。

③ サブスクリプションの整理

動画配信サービス、音楽ストリーミング、クラウドストレージ、ニュースアプリ、フィットネスアプリ……月額500〜1,500円程度のサービスでも、5〜6つ契約すると月5,000〜8,000円になります。

「使っているけど、なくても困らない」というサービスが、実は1〜2つ隠れていることが多いです。まずは全サービスをリストアップし、過去1ヶ月で一度も使わなかったものはすぐに解約を検討しましょう。

また、複数の動画サービスを同時契約している場合は、見たいコンテンツが多いサービスひとつに絞るか、見終わったら解約→また見たくなったら再契約、というサイクルにすると無駄がありません。

④ 電気・ガスの料金プランと契約先

2016年の電力自由化以降、電気とガスは契約先を選べるようになりました。それでも「ずっと同じ会社のまま」という方が多いのが現状です。

電力会社を見直すことで、同じ使用量でも月500〜2,000円程度安くなるケースがあります。電気とガスをセットで契約するとさらに割引になるプランを持っている会社もあります。各社の料金比較サイト(電力比較サービス)で自分の使用量を入力すると、どの会社が最も安いかを確認できます。

また、契約アンペア数(電力の場合)を見直すのも効果的です。一人暮らしや二人暮らしなのに40〜50Aで契約している場合、30Aに下げるだけで基本料金が下がります。

⑤ 住居費・駐車場代

家賃は固定費の中でも最大の支出項目になることが多く、ここを見直せるかどうかで家計の構造が大きく変わります。ただし、「すぐに引っ越す」というわけにはいかないので、現実的な方法を考えましょう。

今の住居で交渉できることがあるとすれば、まず「更新のタイミングで家賃の値下げ交渉をする」ことです。長く住んでいる入居者は大家さんにとってもありがたい存在なので、礼儀正しくお願いすれば応じてもらえるケースは少なくありません。月5,000円の値下げでも年6万円の効果があります。

駐車場代については、近隣の相場と比較してみましょう。同じエリアで月2,000〜3,000円安い駐車場が空いていることもあります。また、車自体の必要性を改めて考えるのも選択肢のひとつです。都市部では車なし生活にすることで、ローン・保険・駐車場・車検・ガソリン代を合わせた月3〜5万円以上のコストを丸ごと削減できます。

固定費削減を「続かせる」ためのコツ

固定費の見直しは、やると決めたら比較的すぐに実行できます。ただ、「何から手をつければいいか迷う」「面倒だと後回しにしてしまう」という声もよく聞きます。そこで、無理なく進めるための工夫をいくつか紹介します。

一度にすべてやろうとしない

固定費の見直しを一気にやろうとすると、情報量が多くて疲弊してしまいます。「今月はスマホ料金だけ」「来月は保険を見直す」というように、1〜2ヶ月ごとにひとつずつ取り組む方が長続きします。

削減した分の「行き先」を決める

固定費を削減できたとき、そのお金が自然と使われてしまうようでは意味がありません。削減できた金額は、自動積立の設定や投資口座への入金など、貯まる仕組みに組み込んでおきましょう。「月3,000円の節約ができた→毎月の積立額を3,000円増やす」という流れを作るのが理想的です。

半年〜1年に一度、見直しを繰り返す

固定費は一度見直せば終わり、ではありません。料金プランは改定されることがありますし、生活スタイルが変わることで必要な保障や契約内容も変わります。手帳やカレンダーに「固定費チェック」の日を年2回ほど設定しておくと習慣化しやすいです。

固定費削減と投資を組み合わせると、お金がもっと働く

固定費を削減して浮いたお金を、そのまま生活費に溶け込ませてしまうのはもったいない。できれば積立投資や貯蓄に回すことで、お金に働いてもらう仕組みを作りましょう。

たとえば、月1万円の固定費削減ができたとします。これをNISAの積立枠を使ってインデックス型の投資信託に毎月積み立てたとすると、20年後にはかなりの資産額になる可能性があります(運用利回りによって異なりますが、年利5%で試算すると約410万円)。節約だけで終わらせず、「節約した分を未来の自分に投資する」という発想が大切です。

固定費の削減は、投資の元手を作るためのファーストステップでもあります。節約と投資は、どちらか一方ではなく、組み合わせることで効果が何倍にもなります。

固定費削減の効果を「見える化」してモチベーションを保つ

節約は、効果が見えにくいと続きません。固定費の削減効果は、簡単に数字で見える化できるのが強みです。

たとえば、スマホ料金を月5,000円削減し、保険料を月3,000円削減し、サブスクを月2,000円整理できたとすると、月合計1万円の削減になります。これを年間で計算すると12万円。10年間続ければ120万円(運用しなくても)です。これだけの数字が並ぶと、「やってみようかな」という気持ちになりやすいですよね。

スプレッドシートや家計簿アプリで、見直し前と見直し後の固定費を並べて記録しておくと、達成感を感じやすく、モチベーションも続きます。

まず今日、できることをひとつ

固定費の見直しに「完璧なタイミング」はありません。思い立ったときが始めどきです。

今日の夜10分だけ、自分の固定費をリストアップするところから始めてみてください。銀行口座の引き落とし一覧を見るだけでいい。クレジットカードの明細を3ヶ月分スクロールするだけでいい。それだけで、「あれ、これ何のサービスだっけ?」というものが必ず見つかります。

節約は「我慢するもの」ではなく、「仕組みを変えるもの」です。固定費の削減はその中でも、一度の行動が長期間効き続ける最も効率的な方法です。小さな一歩が、数年後の家計を大きく変えます。

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