「また仕事で疲れてるから無理か…」と思いながら、一人でオムツを替えて、ミルクをあげて、寝かしつけをする。夜中に何度も起きるのも自分だけ。休日にパパがソファでくつろいでいるのを横目に、私は離乳食を作って、洗濯物をたたんで、もう限界——そんな気持ちになったことは一度や二度じゃありません。
正直に言うと、私もそういう時期がありました。「なんで私だけ?」という怒りと、「どうせ言っても変わらない」という諦めが混ざった、あのしんどい感覚。でも、何年も試行錯誤するうちに気づいたことがあります。パパが育児に参加しないのは、「やる気がない」ではなく「どうすればいいかわからない」ことが多い、ということです。
この記事では、0〜3歳の乳幼児期に限定して、パパが自然と育児に関わりやすくなるための考え方と、実際に家庭で使えるやり方をお伝えします。「頼み方を変えたら、パパが変わった」という話を、具体的にしていきたいと思います。
パパが育児に参加しない本当の理由
「やる気がない」ではなく「わからない」が正解
育児に積極的でないパパを見ていると、「関心がないんだろう」と感じてしまいます。でも実際は、赤ちゃんとどう関わればいいか、何をすれば役に立てるかが本当にわからない、という状態のパパが多いんです。
ママは妊娠中から本を読んで、検診に行って、母親学級に参加して、少しずつ「子どものこと」を学んでいきます。産後も子どもと24時間一緒にいるうちに、泣き声のニュアンスや授乳のリズムが体で覚えられていく。でもパパは、その過程をほとんど一緒に経験していないんですね。
「なんで泣いてるかわからないから怖い」「触ったら壊れそうで怖い」「抱っこしたら泣き止まなくて、逆に迷惑をかける気がする」——これは私の夫が当時話してくれた言葉です。最初はどのパパも、赤ちゃんの前で途方に暮れているんだと思います。
「言えばやる」ではなく「一緒に覚えていく」という発想
よくやってしまいがちなのが、「お風呂入れておいて」「哺乳瓶洗っておいて」と指示を出すやり方です。これ自体は間違いではないのですが、パパはずっと「指示待ちポジション」のままになってしまいます。
指示をもらってやる育児は、どこかアルバイトに似ています。言われたことはやるけれど、自発的には動かない。なぜなら「自分がやらなくてもお母さんがやってくれる」という構図が、自然とできあがってしまうからです。
目指したいのは、パパが「自分もこの子を育てている」と感じられる状態です。そのためには、指示を出すのではなく、一緒に覚えていく経験を意図的に作っていく必要があります。
ママの「完璧主義」が邪魔をしていることもある
これは私自身が一番耳が痛かった話なのですが、パパが育児をしようとするとき、つい「それじゃダメ」「もっとこうして」と口を出してしまうことはありませんか。
オムツの当て方が甘いとか、着替えのボタンがズレてるとか、ミルクの量が少ないとか。気になる気持ちはよくわかります。でも、パパの立場からすると「やってもダメ出しされる」「どうせ後でやり直される」という経験が重なると、だんだん手を出さなくなっていくんですね。
子どもの安全に関わることは別ですが、多少の「ズレ」は見守ること。「やってくれてありがとう」という言葉を先に出すこと。これができると、パパの動き方が少しずつ変わってきます。
0〜3歳のステージ別、パパが参加しやすいことリスト
0〜6ヶ月:「触れること」から始める
この時期の赤ちゃんは首もすわっていないし、ちょっとした動作でも「大丈夫かな」と不安になります。でも、だからこそ「一緒に慣れていく」タイミングでもあります。
私がオススメしているのは、沐浴をパパ担当にすることです。最初は怖がって当然なので、最初の1週間はママがそばについてサポートします。でも基本的な動作はパパにやってもらう。「頭の支え方はこうすると安定する」「お湯の温度は肘で確認する」という知識を、実際にやりながら覚えてもらうんです。
沐浴は毎日あるルーティンなので、自然と「パパの仕事」として定着しやすいのが利点です。赤ちゃんもパパの手の感覚を覚えていきます。最初は泣いていても、慣れてくると泣かなくなる。その変化がパパの自信につながります。
他にも、夜中の一回だけミルクをパパに担当してもらう、朝の着替えをお願いするなど、「毎日あること」「時間が決まっていること」を任せるのがコツです。
6ヶ月〜1歳半:「遊び相手」という役割を確立する
離乳食が始まり、ハイハイが始まり、赤ちゃんがぐっと活発になるこの時期。ママはやることが増えて余裕がなくなってきますが、パパが得意なことも増えてきます。
それが「遊び相手」です。赤ちゃんが動き回るようになると、追いかけっこや高い高い、くすぐり遊びなど、体を使った遊びが大好きになります。これはパパが自然と得意とすることが多いんです。
「遊んでくれてる間に離乳食を作る」「お風呂に入れてくれる間に夕飯の準備をする」という形で、役割を分担すると家事と育児が両方スムーズになります。パパも「俺がいると助かってる」という実感が持てるので、積極的に参加してくれるようになってきます。
この時期に注意したいのは、「遊ぶだけ育児」にしないこと。食事の後片付けや、公園から帰った後の着替えなど、遊びに付随する作業も一緒にやってもらうようにしましょう。
1歳半〜3歳:イヤイヤ期こそパパの出番
この時期が一番しんどいと感じているママ、多いと思います。何をしても「イヤ!」、着替えも食事も寝るのも全部「イヤ!」。毎日これが続くと、ママは精神的にすり減っていきます。
実はこの時期、パパの関わりがとても有効な場面があります。ママが対応していると火に油になってしまうとき、パパに交代してもらうと子どもがすんなり動いてくれることがあります。これは「ママじゃない人」という新鮮さと、ちょっと気が抜けるような空気感がうまく作用しているんだと思います。
「寝かしつけはパパ担当」にするのもこの時期から有効です。ママで寝かしつけると授乳の名残でなかなか離れられないこともありますが、パパだと意外と絵本を読んでトントンしてるうちに眠れる子も多い。子どもにとっても、パパと過ごす夜の時間が特別な安心感になっていきます。
パパに「伝わる」お願いの仕方
「察して」を期待するのをやめる
「見ればわかるはずなのに」という思いは、育児中の多くのママが持っています。でも正直に言うと、察することが苦手な人はたくさんいます。特にパパは「言われなければわからない」ことが多く、それは性格ではなく、経験値の差だったりします。
「疲れてる」「つらい」という感情はちゃんと伝えていいんです。でも「つらいからどうにかして」という伝え方より、「今日だけ寝かしつけをお願いしたい」という具体的な依頼の方が、パパは動きやすい。感情のボリュームが大きいほど、パパはどうすればいいかわからなくなって固まってしまうことがあります。
「○時から○時の間、子どもを見ていてほしい。その間に私はご飯を作る」のように、時間と内容を明確にするのが一番伝わりやすいです。
「ありがとう」を惜しまない
「当たり前のことをやってるだけなのに、なんでお礼を言わないといけないの?」という気持ちも、正直わかります。私もそう思っていた時期がありました。
でも、「ありがとう」の言葉は、パパを動かす最もシンプルで効果的なツールです。人は認められると、もっとやりたくなります。「オムツ替えてくれて助かった」「お風呂入れてくれると本当に楽」という一言が、パパの「自分は役に立っている」という実感につながる。
最初はわざとらしく感じても続けていると、パパが自分から動くようになっていきます。うちの夫がそうでした。「ありがとうって言われると、もっとやろうって思う」と本人が話していました。
失敗しても「次はこうしてみよう」で終わらせる
パパが着替えを失敗した、離乳食の温度が違いすぎた、おやつをあげすぎた。こういうことは必ず起きます。このとき「だから任せられないんだよ」というニュアンスで話してしまうと、パパはその後から手を出さなくなっていきます。
大切なのは「責めない、教える」という姿勢です。「次は肘で確認してみるといいよ」「この量までなら大丈夫だから」と、次に活かせる形でフィードバックする。パパも学んでいく過程にあると思えると、少し気持ちが楽になります。
夫婦で育児方針を合わせるために
「どこまで頑張るか」を二人で決める
育児への参加を増やす前提として、夫婦の方針がある程度そろっていることが大切です。ママが「できるだけ手作りにしたい」と思っているのに、パパが「市販品で十分じゃないの」と言い続けると、ただでさえ疲れているのにさらにすり減ります。
「離乳食は週に何回か市販品を使う」「寝かしつけはどちらかが担当する」「深夜対応は交代でやる」というように、具体的な場面ごとに話し合いをするのが有効です。「全部完璧にやらなくていい」という認識を二人が持てると、育児の負担がぐっと軽くなります。
「パパの得意」を見つけて任せる
育児を均等に分けようとすると、お互いにしんどくなることがあります。それよりも、「パパが得意なこと」「ママが得意なこと」を分けていく方が長続きします。
たとえば、うちの夫は子どもを笑わせることが得意でした。お風呂でおかしなポーズをして笑わせる、外遊びで体を使って遊ぶ。そういう場面はパパに全部お任せしていました。反対に、病院の付き添いや食事管理は私が担当する。お互いに「自分の仕事」という意識が持てると、自然と動きやすくなります。
「パパと子どもだけの時間」を週に一度作る
これが一番、育児参加を増やすのに効果的だと私は思っています。ママがいると、パパはついママに頼ってしまいます。「どうすればいい?」「これで大丈夫?」と確認が止まらない。でも、二人だけにすると、パパは自分で考えて対応するしかなくなります。
最初は1〜2時間から始めて、慣れてきたら半日、1日と伸ばしていく。ママがいない間、子どもとどう過ごすかをパパが自分で考える経験が、「育てている実感」につながっていきます。ママも、その間に一人の時間が持てるのでリフレッシュできる。一石二鳥です。
「パパが変わらない」ときに考えてほしいこと
すぐに変わると期待しない
伝え方を工夫しても、関わる機会を作っても、すぐには変わらないことがあります。これは当たり前のことです。私も、夫がある程度自然に動いてくれるようになるまで、2年近くかかりました。
一週間試してみてダメだったとしても、それで諦める必要はありません。「今日は無理でも、来週はどうだろう」くらいのペースで続けていく。変化は少しずつ起きていることが多いので、1ヶ月前と比べると意外と動いてくれているなと感じることがあります。
外からの刺激を活用する
パパが他のパパと話す機会を作るのも有効です。職場のパパ友や、子育て支援センターのパパ向けイベントなどがあれば、積極的に参加を促してみましょう。「あのパパはこんなことをしているんだって」という話を聞いたり、他のパパが楽しそうに子育てをしている姿を見たりすることが、パパの意識を変えるきっかけになることがあります。
私の夫が変わった一つのきっかけは、子育て支援センターで他のパパたちが積極的に子どもと遊んでいる場面を見たことでした。「自分も当たり前にそうしていいんだ」という気持ちになったと後で話してくれました。
ひとりで抱えないために
正直に言います。パパに変わってもらうための努力をするのも、結局は「ママが頑張ること」になってしまう側面があります。それがしんどくなってきたら、無理に続けなくていい。実家を頼る、ファミリーサポートを使う、一時保育を利用するなど、パパ以外の選択肢もちゃんとあります。
ママが自分を追い詰めた状態では、子育てはうまくいきません。「パパに変わってもらうこと」より先に、「私が今日を乗り越えること」を優先していい場面もあります。パパとの関係を整えることは大切ですが、それはあくまで長期的な取り組みです。今日明日をなんとかするための手段は、もっとたくさんあっていいんです。
パパが育児に参加してくれると、ママが楽になるのはもちろんですが、子どもにとっても豊かな関係性が育まれます。パパと過ごす時間、パパにしかできない遊び、パパとの独特の安心感——それは、ママには代わりになれないものです。少しずつでも、二人で育てていく形を作っていけたらと思っています。
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