夜中の2時、やっと寝かしつけたと思ったら30分後にまた泣き声。抱っこしてゆらゆら、おっぱいをあげて、やっと眠ってくれたと思ってベッドに置いたら背中スイッチが発動…。そんな夜を何週間も繰り返していた時期、私は本当にボロボロでした。「自分の育て方が悪いのかな」「この子、何か問題があるのかな」と毎晩泣きながら抱っこしていたのを今でも覚えています。

でも、少しずつ仕組みを理解して、生活リズムに小さな変化を加えていったら、驚くほど睡眠が安定していったんです。今、同じように寝不足で悩んでいるパパ・ママに、あの頃の私が知りたかったことをお伝えしたいと思います。

赤ちゃんが「うまく眠れない」理由を知っておこう

赤ちゃんの睡眠は大人とまったく違う構造をしている

大人の睡眠は、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)が約90分サイクルで繰り返されます。でも赤ちゃんの場合、このサイクルはたった40〜50分ほど。しかも浅い眠りの割合が非常に多く、大人と比べると「眠りが浅い時間」が圧倒的に長いんです。

だから、20〜30分で目が覚めてしまうのは、実は「正常な睡眠の仕組み」の結果でもあります。問題は目が覚めた後、自分でまた眠りに戻れるかどうか。ここに「夜中に何度も起きる」原因が隠れています。

授乳しながら、抱っこしながら寝落ちすることが続くと、赤ちゃんは「眠るためにはおっぱい(または抱っこ)が必要だ」と学習していきます。浅い眠りで目が覚めるたびに「あれ、さっきあったおっぱいがない!」と感じて泣いてしまう。これが「睡眠の入眠条件」と呼ばれるもので、夜中に何度も起きる赤ちゃんによく見られるパターンです。

月齢によって「眠れる時間」はまったく異なる

「もう3ヶ月なのにまだ夜中2〜3回起きる」と焦っているパパ・ママも多いと思いますが、まずは月齢ごとの目安を知っておくと少し楽になります。

生後0〜3ヶ月の赤ちゃんは、胃がとても小さいので2〜3時間おきに授乳が必要です。夜中に何度も起きるのは生理的に当たり前のこと。この時期に「夜通し寝てほしい」と思うのは、赤ちゃんにはまだ無理な話なんです。

生後4〜6ヶ月になると、少しずつ昼夜の区別がついてきます。夜間の授乳回数が減る子も出てきますが、個人差がとても大きい時期。「友達の子はもう朝まで寝てる」という話を聞いて焦る必要はありません。

生後6ヶ月以降になると、身体的には夜間授乳なしで朝まで眠れる準備が整ってくる子が増えてきます。ここから睡眠を整えるアプローチが効果を出しやすくなります。ただし、歯が生えてくる時期や、はいはいを覚える時期など、成長のタイミングで一時的に睡眠が乱れることもよくあります。

環境が整っていないと眠りが浅くなる

赤ちゃんが眠れない原因のひとつに、寝室の環境があります。室温・湿度・明るさ・音の4つが睡眠に大きく影響します。

特に気をつけたいのが「光」です。赤ちゃんの目は大人より光に敏感で、少しの明るさでも眠りが浅くなります。夜間のお世話のために豆電球をつけたままにしているご家庭も多いですが、できれば寝るときは真っ暗にして、夜中のお世話は手元の小さなライトだけで済ませるのがおすすめです。

室温は夏で26〜28℃、冬で20〜22℃前後を目安に。「赤ちゃんは汗っかきだから少し涼しめのほうが良い」とよく言われますが、冷えすぎも目が覚める原因になります。首の後ろを触ってみて、汗ばんでいなければOKのサインです。

生活リズムを整えることが一番の土台になる

朝の光を浴びることから体内時計が動き出す

睡眠の専門家も口を揃えて言うのが「朝、決まった時間に光を浴びる」ことの大切さ。体内時計は光によってリセットされるので、毎朝同じ時間にカーテンを開けて明るい光を浴びることが、夜の眠りを整える第一歩になります。

私が実践したのは、朝7時になったらリビングのカーテンを開けて、赤ちゃんをそこに連れてくること。新生児のころから始めたわけではありませんが、生後2ヶ月を過ぎたあたりから少しずつ取り入れました。最初は効果があるのか半信半疑でしたが、2〜3週間続けたあたりから夜にまとめて眠る時間が少しずつ長くなってきたんです。

「朝7時に起こすのがかわいそう」という気持ちもわかります。でも、昼夜逆転や夜中に元気に遊び始める状況の方が、赤ちゃんにとっても親にとってもつらい。毎朝の光浴びは、赤ちゃんの体に「今が朝だよ」と教えてあげる、優しい合図なんです。

ねんねルーティンは「眠り」のスイッチを作ること

「ねんねルーティン」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。毎晩同じ順番で同じことをすることで、赤ちゃんの脳に「これが来たら眠る時間だ」という信号を送る習慣のことです。

難しく考える必要はありません。たとえば「お風呂→授乳→絵本1冊→電気を消して子守唄」という流れを毎晩繰り返すだけ。大事なのは「順番が同じであること」と「毎日続けること」です。

私の場合、最初は「そんな単純なことで変わるの?」と半信半疑でしたが、2週間ほど続けると子どもが絵本を読み始めた頃にあくびをするようになって、「あ、体が覚えてくれてる!」と感動したのを覚えています。ルーティンの効果は、すぐには出ません。でも続けることで必ず積み上がっていきます。

ひとつ気をつけてほしいのが、ルーティンの最後を「授乳で寝落ち」にしないこと。前述の入眠条件につながるので、授乳は眠りに落ちる少し前に終わらせて、眠気はあるけどまだ少し起きているくらいの状態でベッドに置くのが理想です。最初は泣くこともありますが、焦らずに少しずつ慣らしていきましょう。

昼寝のタイミングが夜の睡眠を左右する

「昼寝をたくさんさせると夜に眠れなくなるんじゃないか」と思われる方もいますが、実はその逆で、昼寝が足りていない赤ちゃんは疲れすぎてしまって夜の眠りが浅くなることがあります。「疲れたら深く眠れる」は大人の話で、赤ちゃんは過覚醒状態になるとかえって眠れなくなるんです。

月齢に応じた昼寝の目安は、生後0〜3ヶ月は1日の大半が眠り、生後4〜6ヶ月は昼寝3〜4回、生後6〜9ヶ月は昼寝2〜3回、1歳以降は昼寝1〜2回程度が目安とされています。

ただし、夕方の昼寝は注意が必要です。夕方17時以降に昼寝をしてしまうと、夜の就寝時間が遅くなりやすい。生後6ヶ月以降であれば、最後の昼寝が終わる時間を夕方4時〜5時くらいまでに調整すると、夜の就寝がスムーズになることが多いです。

夜中に何度も起きる赤ちゃんへの対応の仕方

泣いたらすぐ飛んでいくのをほんの少し待ってみる

これは、私自身がとても葛藤したことでもあります。泣き声を聞いて「すぐ行かないと!」という気持ちは親として当然です。でも、夜中の泣き声すべてが「今すぐ助けが必要!」というサインかというと、そうではないこともあります。

浅い眠りで目が覚めたとき、赤ちゃんはうーうーと声を出したり、少し泣いたりすることがあります。でも2〜3分待つと、また自分で眠りに戻れることがあるんです。これを「自己入眠」と言います。

「泣き声を聞いてすぐ行かない」というのは、赤ちゃんを放置するということではありません。泣き声の様子を聞きながら「これはぐずり?それとも本当に助けが必要?」を見極める時間を2〜3分だけ持つということです。本当に泣き続けているなら、もちろんすぐに行ってあげてください。

最初はこれがとても不安でした。でも、自分で眠りに戻れる力を少しずつ育てることが、長い目で見ると赤ちゃんにとっても親にとっても楽になる道だと実感しています。

夜中の授乳を少しずつ減らすアプローチ

生後6ヶ月以降、体重も順調に増えていて離乳食も始まっているのに夜中の授乳が多い場合、少しずつ夜間授乳の回数を減らすことを検討するのもひとつの方法です。

ただし、これはあくまで「赤ちゃんの成長が順調であること」が前提です。体重増加が心配な場合や、医師から栄養面で指示されている場合は、夜間授乳の変更について必ず医療者に相談してください。

私が試したのは、夜中に起きたとき、まずは授乳以外の方法(背中をさする、おしゃぶりを使う、小声で話しかける)で落ち着かせることを先に試みること。それでも泣き続ける場合は授乳する、というルールを自分の中で作りました。これを2週間ほど続けると、夜中の授乳が4回→2回→1回と少しずつ減っていきました。完全にゼロにするのではなく、まず「減らす」ことを目標にするのがポイントです。

パパも夜間の対応に入ることで変化が生まれる

夜中に授乳で対応しているママは、「パパに頼めない」と感じている方も多いと思います。確かに授乳ができるのはママだけですが、夜中の対応のすべてがそうである必要はありません。

パパが夜中に起きて、授乳以外の方法(背中をさする、抱っこしてゆらす)で赤ちゃんをなだめると、おっぱいが来ないと悟った赤ちゃんが意外と早く眠ることがあります。ママが対応すると「おっぱいが来るかも」という期待で余計に泣く場合があるので、パパが対応する方がうまくいくことも実際には多いんです。

我が家でも、週に2〜3回は夫が夜中の対応を担当してくれるようになってから、私の睡眠時間が少し取れるようになって、日中の育児の余裕がぐっと変わりました。育児方針を夫婦で話し合う際は、「どちらが担当するか」ではなく「どうすれば赤ちゃんが眠れるようになるか」という共通のゴールで話すと、方針が合いやすくなります。

睡眠が整わないとき、親が自分を責めないために

「ネントレ」は魔法ではなく、合う・合わないがある

「ネントレ(ねんねトレーニング)」という言葉を聞いて、試してみたけれど続かなかったというパパ・ママも多いと思います。私もそのひとりでした。

泣かせるネントレ(一定時間泣いても介入しない方法)は、親の精神的なつらさが大きく、特にママが赤ちゃんの泣き声に強い不安を感じやすい産後の時期には、かなりのストレスになります。効果があった方もいる一方で、赤ちゃんの気質や親の感受性によっては合わないこともある。どちらが正解ということではありません。

「泣かせる方法を試さないといつまでも寝ない」とプレッシャーをかけてくる人がいるかもしれませんが、焦る必要はありません。生活リズムを整えること、ルーティンをつくること、入眠条件を少しずつ変えていくことで、ゆっくりでも着実に睡眠は整っていきます。

睡眠退行は「戻った」のではなく「育っている」サイン

やっと夜まとめて眠れるようになった!と思ったら、また夜中に何度も起きるようになった…。これは「睡眠退行」と呼ばれる現象で、生後4ヶ月・8〜10ヶ月・12ヶ月前後によく起こります。

睡眠退行は、脳や体が急速に発達しているときに起こりやすいとされています。つまり、退行しているのではなく「それだけ成長している」ということ。「せっかく整ったのに…」と落ち込む気持ちはよくわかりますが、これは一時的なことが多く、大抵は2〜6週間ほどで落ち着いていきます。

この時期は、無理に新しいことを始めようとするよりも、今まで続けてきたルーティンをなるべく守ることが大切です。嵐が来たときは、嵐が過ぎるのを待ちながら、できることを地道に続ける。それだけで十分です。

親が睡眠不足になることの危険性も忘れないで

赤ちゃんの睡眠を整えようと必死になるあまり、自分の睡眠が二の次になっているパパ・ママも多いです。でも、睡眠不足の親は判断力が低下し、感情のコントロールが難しくなります。それが育児へのイライラや自己嫌悪につながり、悪循環になることも。

赤ちゃんが昼寝しているときに一緒に横になること、夜中の対応をパパと交代すること、週に一度でも少し長く眠れる日を作ること。育児を頑張るためにも、親自身の睡眠を意識的に守ることは必要なことです。自分を後回しにしすぎないでほしいと、同じ経験をしてきた先輩ママとして、心から思っています。

長い目で見ると、必ず眠れるようになる

「うちの子、ずっとこのまま?」という不安に答えたい

夜中に何度も起きている時期は、「この子、大きくなっても眠れないのかな」という不安が頭をよぎることがあります。私もそうでした。でも、今振り返ると、あの頃悩んでいた睡眠の問題は本当に一時のことでした。

赤ちゃんの睡眠が整うまでの時間は、子どもによってまちまちです。6ヶ月で朝まで眠れるようになる子もいれば、1歳半を過ぎてやっと安定してきた子もいます。比べる必要はありません。でも、どの子も必ず「よく眠れる」日が来ます。

今、夜中に何度も起こされて、もう限界だと感じているなら、一人で抱え込まないでください。地域の子育て支援センター、産後ケア施設、かかりつけの小児科の先生など、相談できる場所は必ずあります。「こんなことで相談してもいいのか」と思う必要はありません。眠れなくてつらいというのは、それだけで十分な理由になります。

今日からできる小さな一歩を一つだけ選んでほしい

この記事でいろいろお伝えしてきましたが、全部一度にやろうとしなくていいです。むしろ、完璧にやろうとすると続きません。

明日の朝、カーテンを開けるだけでもいい。お風呂の後に毎晩同じ絵本を1冊読むだけでもいい。夜中に泣いたとき、2分だけ待ってみるだけでもいい。

小さな積み重ねが、2週間後、1ヶ月後に必ず変化をもたらします。焦らなくていいです。あなたが毎晩赤ちゃんのそばで頑張っていること、それだけで十分すごいことだと私は思っています。

Photo by Khoa Pham on Unsplash