「ウイルス対策ソフトって、本当に必要なの?」と思っていませんか?あるいは「なんとなく入れているけど、何をしてくれているのかよくわからない」という方も多いはずです。
実は、ウイルス対策を「なんとなく」のまま放置していると、ある日突然、大切な写真や仕事のデータが消えたり、気づかないうちに個人情報が抜き取られたりすることがあります。怖い話に聞こえるかもしれませんが、これは決して他人事ではありません。
この記事では、スマホとPCのウイルス対策について、「むずかしそう」と感じている方に向けて、仕組みから具体的な対策まで丁寧に説明します。読み終えたあとには「これなら自分でもできる」と感じていただけるはずです。
そもそも「ウイルス」って何をするの?
コンピューターウイルスとは、あなたのスマホやPCに無断で侵入し、悪さをするプログラムのことです。「プログラム」というと難しそうですが、要するに「こっそり入り込んで悪いことをする小さなソフト」だと考えてください。
ウイルスがやることは、大きく分けて以下のようなものがあります。
個人情報やパスワードを盗む
銀行のアプリやショッピングサイトで入力したパスワードや、クレジットカード番号を盗み取るウイルスがあります。被害者は「何も操作していないのに口座からお金が消えた」という形で初めて気づくことが多く、非常に厄介です。
ファイルを人質にとる(ランサムウェア)
「ランサムウェア」というウイルスは、PCの中にある写真や書類をすべて暗号化(鍵をかけて読めなくすること)して、「元に戻したければお金を払え」と要求してきます。近年、企業だけでなく個人のPCも狙われるケースが増えています。
スマホを監視ツールに変える
スマホに侵入したウイルスは、カメラやマイクをこっそり起動したり、位置情報を外部に送り続けたりすることもあります。自分のスマホが「のぞき窓」になってしまうイメージです。
他のパソコンへの攻撃に「加担」させられる
感染したPCは、知らないうちに「踏み台」にされることもあります。つまり、あなたのPCが別の誰かへのサイバー攻撃に使われてしまうのです。被害者のはずが、加害者として記録される可能性もあるため、他人事ではありません。
ウイルスはどこからやってくるの?
ウイルスの侵入経路を知っておくと、対策がぐっと立てやすくなります。代表的なルートを確認しておきましょう。
怪しいメール・SMSのリンク
「荷物が届きませんでした」「アカウントに問題が発生しました」といった内容のメールやSMSに書かれているURLをタップすると、ウイルスに感染するページに誘導されることがあります。これを「フィッシング詐欺」と呼びます。魚を釣るように、人をだまして個人情報を「釣り上げる」イメージからきた名前です。
信頼できないサイトからのダウンロード
無料でゲームや映画を見られると謳う怪しいサイトから何かをダウンロードすると、一緒にウイルスが入り込んでくることがあります。「タダより高いものはない」という言葉は、インターネットでも真実です。
公式以外のアプリストア
スマホのアプリは、iPhoneなら「App Store」、AndroidなればGoogle Playから入手するのが原則です。それ以外のサイトから直接アプリをインストールすると、ウイルスが仕込まれたアプリをつかんでしまう危険があります。
公共の無料Wi-Fi
カフェや駅などの無料Wi-Fiは便利ですが、暗号化されていないネットワークでは、通信内容を第三者に盗み見られるリスクがあります。特に銀行アプリの使用やパスワードの入力は、公共Wi-Fiでは避けるのが賢明です。
OSやアプリのアップデート未適用
スマホやPCのOS(オペレーティングシステム。iOSやWindowsといった、機器全体を動かすソフト)には、セキュリティの穴(脆弱性)が見つかることがあります。アップデートはその穴をふさぐ「修理」の作業です。アップデートをずっと後回しにしていると、穴が開いたままの状態でインターネットにつながっていることになります。
PCのウイルス対策、基本の5つ
では具体的に何をすればよいのか、PCから見ていきましょう。難しいことは何もありません。
①セキュリティソフトを入れる
セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)は、PCへの不審な侵入を監視し、ウイルスを検出・削除してくれるソフトです。玄関に「番犬」を置くようなものだと考えてください。
Windowsを使っている場合、「Windows Defender(ウィンドウズ・ディフェンダー)」というセキュリティ機能がもともと搭載されています。無料で使えて、ある程度の防御力があるため、追加のソフトを導入しなくても最低限の対策は整っています。ただし、より強い防御が必要な場合や、会社の仕事でPCを使う場合は、市販のセキュリティソフトを検討するとよいでしょう。
②OSとソフトウェアをこまめにアップデートする
前述のとおり、アップデートはセキュリティの穴をふさぐ作業です。「なんとなく後で」とずっと先延ばしにするのはリスクがあります。自動アップデートの設定をオンにしておくと、手間なく常に最新の状態を維持できます。Windowsなら「設定」→「Windows Update」から確認できます。
③パスワードを使いまわさない
これはウイルス対策というよりアカウント保護の話ですが、非常に重要なので外せません。複数のサービスで同じパスワードを使っていると、どこか一箇所で情報が漏れた瞬間、すべてのサービスが危険にさらされます。
パスワードの管理が大変な場合は、「パスワードマネージャー」というアプリの活用をおすすめします。複雑なパスワードを自動生成・保存してくれる便利なツールです。
④メールやSMSのURLは慎重に
心当たりのないメールに書かれたリンクはクリックしないのが鉄則です。「公式っぽい」見た目でも油断は禁物です。怪しいと感じたら、リンクはクリックせず、ブラウザのアドレスバーに直接公式サイトのURLを打ち込んで確認するようにしましょう。
⑤定期的にバックアップを取る
ランサムウェアなどの被害に遭ったとき、バックアップ(データの複製)があれば被害を最小限に抑えられます。外付けハードディスクやクラウドストレージ(インターネット上にデータを保存するサービス)を活用して、大切なデータは定期的に別の場所に保存しておきましょう。
スマホのウイルス対策、意外と知らない落とし穴
「スマホはPCよりも安全」と思っている方も多いですが、それは半分正解で半分誤解です。iPhoneはApp Storeによる厳格な審査があるため比較的安全ですが、完璧ではありません。AndroidはiPhoneより侵入経路が多い分、注意が必要です。
アプリは公式ストア以外からインストールしない
繰り返しになりますが、これは絶対に守ってほしいルールです。「このサイトから直接インストールしてください」という案内は、ほぼ確実に怪しいと思ってください。
アプリの「権限」に注目する
スマホにアプリを入れるとき、「連絡先へのアクセスを許可しますか?」「位置情報を使用しますか?」といった確認が表示されますよね。これを「権限」と呼びます。
たとえば、懐中電灯アプリが「連絡先へのアクセス」を求めてきたら、かなり怪しいと思ってください。懐中電灯を使うのに連絡先は必要ないはずです。アプリの機能と関係のない権限を求めてくるアプリは要注意です。
iPhoneもAndroidも、OSのアップデートは必ず行う
「アップデートすると動作が変わりそうで怖い」という気持ちはわかります。ですが、セキュリティの観点からは、アップデートを当てないほうがはるかにリスクが高いです。特にセキュリティ修正が含まれるアップデートは、できるだけ早めに適用することをおすすめします。
公共Wi-Fiでの機密情報の入力を避ける
駅やカフェの無料Wi-Fiは便利ですが、インターネットバンキングやクレジットカード情報の入力には使わないようにしましょう。どうしても使う必要がある場合は、VPN(ブイピーエヌ)と呼ばれる通信を暗号化するサービスを利用するという手もあります。
SMSで届く「認証コード」に気をつける
「ワンタイムパスワード」などと呼ばれる、ログイン時にSMSで届く認証コード。これを電話や偽サイトで入力させようとする詐欺が増えています。誰かから「SMSに届いたコードを教えてください」と言われたら、それは詐欺です。絶対に教えてはいけません。
「感染しているかも」と思ったらどうする?
もしも「これはウイルスに感染しているかもしれない」と不安になったとき、慌てないために確認しておきましょう。
ウイルス感染のサイン
- 急に動作が遅くなった
- 知らないアプリがインストールされている
- 広告が突然たくさん表示されるようになった
- 身に覚えのない課金がある
- バッテリーの減りが急激に早くなった
これらの症状が出ているからといって、必ずしもウイルス感染とは限りません。ただし、複数の症状が重なる場合は注意が必要です。
やるべき対処の手順
まず、インターネットへの接続を切りましょう(Wi-FiとモバイルデータをOFFに)。これにより、外部への情報流出を一時的に防げます。
次に、セキュリティソフトでスキャン(ウイルスの検索・検出作業)を実行します。Windowsであれば「Windows Defender」でスキャンを走らせてみましょう。
スマホの場合は、怪しいと思うアプリをアンインストール(削除)してみてください。それでも改善しない場合は、スマホを初期化する(工場出荷時の状態に戻す)という選択肢もあります。初期化の前には、写真などの大切なデータをバックアップしておくことを忘れずに。
どうしても対処が難しければ、PCメーカーのサポートや、地域の家電量販店の修理・相談窓口に頼るのも正しい判断です。「自分で解決しなければ」と無理に抱え込む必要はありません。
「面倒くさい」をなくすための考え方
ウイルス対策を続けるうえで一番の敵は、「面倒くさい」という気持ちです。これは正直なところ、とても自然な感覚です。でも、少しだけ視点を変えてみてください。
たとえば、玄関の鍵を毎日かけるのは面倒でしょうか?おそらく、そんなふうに感じる人はほとんどいないはずです。なぜなら「鍵をかけないと危ない」という感覚が当たり前になっているから。スマホやPCのセキュリティも、同じように「当たり前の習慣」にしてしまえばいいのです。
アップデートは自動設定にする、パスワードはパスワードマネージャーに任せる、バックアップは週に一度自動で行う設定にする。こうした「仕組みで自動化できるもの」は積極的に自動化してしまいましょう。毎回意識しなくても済む環境を作るのが、長続きするウイルス対策の秘訣です。
まず今日、一つだけやってみてください
ここまで読んでくださったあなたへ。「なんとなく怖いけど何から手をつければ」という状態から、少しだけ前に進んでもらえたら嬉しいです。
今日やること、たった一つだけ選ぶとすれば何がいいか。それは「スマホとPCのOSアップデートを確認すること」です。これだけで、現在開いているセキュリティの穴を一つ以上ふさげる可能性があります。
Windowsなら「設定」→「Windows Update」、iPhoneなら「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から確認できます。Androidは機種によって異なりますが、「設定」→「システム」→「ソフトウェアアップデート」が多いです。
ウイルス対策は、完璧を目指すより「普通の人より少しだけ気をつける」ことが大切です。すべての対策を一気にやろうとすると挫折します。一つずつ、できることから始めてみてください。それだけで、あなたのスマホとPCはずっと安全になります。
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