自分の時間を作る、キャリアを手放さない — 仕事と育児の両立で大切なこと

働きながら子どもを育てる日常は、想像以上に忙しいものです。朝は子どもの支度、仕事中は頭の片隅に保育園のことがあり、帰宅後は食事、入浴、寝かしつけ。気がつくと自分のための時間はほぼゼロになっていませんか。

こうした状況の中で、多くの親が同じ問題に直面しています。「仕事も育児も、どちらも大事にしたいのに、両方こなすだけで精一杯」「自分の時間なんて贅沢だ」という考え方です。でも本当にそうでしょうか。

仕事と育児の両立は、工夫次第で「時間を生み出す」ことが可能です。わたしは多くのご家庭の事例を見てきました。自分の息抜き時間を確保しつつ、キャリアも育児も納得できるレベルで継続している親たちです。その共通点を、今回は具体的に解説します。

結論から書きます

仕事と育児の両立で成功している親の多くは、「完璧を目指さない」「時間を細かく分割する」「パートナーや周囲に頼る」という3つの工夫をしています。自分の時間は「贅沢」ではなく「必需品」と位置づけ、週に数時間の確保を目標にすることが、中長期的には仕事のパフォーマンスと育児の質の両方を上げるという研究結果も出ています。

「完璧な親」「完璧な労働者」という呪縛から解放される

育児と仕事を両立させようとするとき、最初の障害になるのは「どちらも完璧にやらなくては」という心理です。

仕事の日中は集中して成果を出し、帰宅後は子どもに完全に向き合い、家事も手を抜かない。そんなことが毎日続くはずがありません。無理な目標を掲げるほど、やがて心身が疲弊します。その結果、仕事のミスが増えたり、子どもへの対応が短気になったり、という悪循環に陥りやすいのです。

実際のところ、子どもの発育に必要なのは「親の完璧な育児」ではなく「親の心の安定」だという研究があります。子どもは親がストレスを抱えているか、心に余裕があるかを敏感に感じ取ります。つまり、自分の時間を確保して心に余裕を持つことは、結果的に子どもにとっても良いのです。

仕事でも同じことが言えます。疲弊した状態で無理に長時間働くより、適度に休息を取り、集中力を保った状態で効率的に働く方が、より質の高い成果につながります。

だからこそ、「両立の秘訣は、どちらにも完璧さを求めないこと」なのです。

時間を「細かく分割する」という現実的な工夫

自分の時間を作るとき、多くの人は「まとまった休日に何かをしよう」と考えがちです。しかし、育児と仕事が両立している親にとって、まとまった自由時間は非常に確保しづらいものです。

そこで効果的なのが、細切れ時間の活用です。朝30分、昼休みの15分、入浴後の20分。こうした短い時間を自分のために使うことで、週単位では数時間の「自分時間」が生まれます。

具体的な活用例として、以下のようなシーンが考えられます:

  • 朝30分の余裕:子どもを保育園に送った後、出勤まで時間があれば、好きな本を読んだり、カフェでコーヒーを飲んだりする時間を作る
  • 昼休みの活用:お弁当を食べた後の20分で、簡単な運動やストレッチを行う、または同僚と雑談する
  • 子どもの就寝後:寝かしつけ後の1時間を、自分の勉強や趣味に充てる

この工夫のポイントは、「毎日同じ時間に同じことをする」ということです。習慣化すると、それが単なる「すきま時間」ではなく、心理的に確保された「自分の時間」となります。一日30分でも、週に5日続ければ2.5時間。月に10時間の自分時間が生まれるのです。

ただし、子どもが幼い時期や、仕事が繁忙期の場合は、この時間すら確保できないこともあります。そうした局面では、「今週は自分時間ゼロ」と受け入れることも大切です。完璧さを求めるのではなく、「通年での平均で週2~3時間確保できれば OK」くらいの柔軟性を持つと、心が楽になります。

パートナーや周囲に頼ることは「甘え」ではなく「戦略」

仕事と育児を両立させている人の多くが見落としやすいのが、「全部自分でやらなくては」という考え方です。

しかし現実には、パートナーがいる場合でも、パートナーがいない場合でも、周囲の支援があるかどうかが、自分の時間確保に直結します。

パートナーがいるご家庭では、育児と家事の役割分担を明確にすることが重要です。例えば「月・水・金は自分が、火・木・土はパートナーが子どものお風呂」というように、あらかじめ決めておくと、それ以外の日は親任感なく自分の時間に充てられます。よくある誤解として、「パートナーに任せると、やり方が雑になるのでは」という懸念がありますが、子どもの成長に影響を与えるほどの大きな差は、多くの場合ありません。大事なのは「完璧さ」ではなく「継続性」です。

パートナーがいない場合は、親の支援、保育園の延長保育、ファミリーサポートなど、公的・私的なサービスを活用することが選択肢になります。週に1回2時間でも、子どもを誰かに見てもらえる環境があれば、その時間を自分のために使えます。

また、職場の制度も重要です。在宅勤務制度や時短勤務、フレックスタイムなどが活用できれば、通勤時間を自分の時間に充てたり、保育園の迎えの時間を調整したりできます。これらの制度は「使いづらい雰囲気」があることも多いのですが、仕事と育児の両立を実現している人たちは、そうした制度を積極的に利用しています。

要するに、「自分の時間を作る」ことは、自分の工夫だけでなく、環境と人のサポートをいかに活用するかが大きなカギになるのです。

キャリアを手放さないための「優先順位の切り替え」

仕事と育児を両立させるとき、もう一つ大切な考え方があります。それは「キャリアと育児の優先順位は、ライフステージに応じて変わる」ということです。

子どもが乳幼児の間は、育児の時間投資が最も大きくなります。この時期に無理にキャリアを積み重ねようとすれば、自分の時間は完全に失われます。しかし、この段階を乗り越えれば、子どもが保育園や幼稚園に行く時間が増え、親自身に時間の裁量が増えてきます。

つまり、「長期的視点で見たときに、自分のキャリアをどう構築するか」という戦略が必要になります。

例えば、子どもが0~3歳の間は、時短勤務や育児休暇を活用して育児にウエイトを置き、その後4~6年かけてキャリアの再構築を始める、というアプローチもあります。あるいは、この時期に資格取得やスキルアップを目指すのではなく、メンタルと体力の維持に注力するという選択もあります。

仕事と育児の両立で成功している人たちは、「今この瞬間に全部やる」のではなく、「人生全体の中で、何にいつエネルギーを使うか」を柔軟に考え直しています。

また、職場側の理解も重要です。育児と両立している従業員に対して、「この数年はキャリアの積み重ねが限定的になるだろう」と理解してくれる企業文化があれば、親自身も心に余裕を持ちながら仕事を続けられます。逆に「育児をしながらもフルペースで昇進を目指すべき」という無言のプレッシャーがあれば、それはやがて心身の疲弊につながります。

わたしの周囲には、こうした柔軟な発想で、仕事も育児も、そして自分の時間も手放さない親たちがいます。彼らに共通しているのは、「全部完璧にはできないが、今この瞬間で大事なものを見極めている」という姿勢です。

まとめ

仕事と育児の両立で自分の時間を確保するには、いくつかの工夫が必要です:

  • 完璧さを求めず、「今のライフステージではこのレベル」という現実的な目標を持つ
  • 細切れ時間を有効活用し、習慣化することで「自分の時間」を生み出す
  • パートナーや周囲の支援を戦略的に活用し、一人で完結しない仕組みを作る
  • キャリアと育児の優先順位を柔軟に切り替え、人生全体で見た構想を持つ

自分の時間を確保することは、決して「育児や仕事をおろそかにすること」ではありません。むしろ、心に余裕を持つことで、子どもにも職場にも、より良い自分をもたらすことができるのです。

※本記事は2026-05-12時点の情報に基づきます。制度・サービスは変更されることがあります。
育児に正解はありません。本記事の体験は一例で、お子さんやご家庭の状況に合わせて参考にしてください。

Photo by Vitaly Gariev on Unsplash