夜泣きと離乳食、しんどかった時期をどう乗り越えたか
夜中に何度も起きるとき、何が変わったのか
赤ちゃんが夜中に泣く。この一言だけで、どれだけ消耗するか、経験したことのある人なら分かると思います。
「何時間寝られたか」を毎朝数えながら、離乳食の本を開いて、でも作る気力がなくて閉じる。そういう時期があります。夜泣きと離乳食が重なる生後6ヶ月〜1歳前後は、育児の中でも体力的にしんどさのピークになりやすい時期です。
この記事では、夜泣きの原因と対処の考え方、離乳食で手を抜いていい部分・抜いてはいけない部分について書きます。「ちゃんとしなければ」と思いすぎているときに、少しだけ肩の荷を下ろせるような内容にしています。
結論
夜泣きの多くは「何か対策を間違えた」せいではありません。月齢による発達の過程として起きることが大半です。離乳食は市販のベビーフードを活用してよく、完璧な進め方より「継続」を優先する方が、結果として子どもの食への抵抗感が減ります。
夜泣きは「親の対処ミス」ではない
夜泣きの原因について、まず事実を整理します。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」でも触れられているように、乳児期の睡眠は成人と大きく異なります。生後6ヶ月ごろまでは、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルが短く、浅い眠りから覚醒しやすい状態が続きます。夜泣きそのものは、この睡眠サイクルの未成熟さから来ていることが多く、「寝る前に授乳したから」「昼寝をさせすぎたから」だけで説明できるものではありません。
わたしの子どもの場合、夜泣きがひどかった時期に試した「寝る前の授乳を増やす」「昼間に十分遊ばせる」「部屋を暗くする」などの対策は、すべて効果があったときもあれば、まったく関係なかった夜もありました。対策が機能しない夜があっても、それは親の対応が間違っているのではなく、子どもの神経発達がまだその段階にある、ということです。
よくある誤解があります。「夜泣きは添い寝をやめれば治る」「抱っこのしすぎで夜泣きが増えた」という話を聞くことがありますが、これは根拠が明確ではありません。日本小児科学会が推奨する乳幼児の睡眠環境のガイドラインでも、夜泣きの原因を抱っこや添い寝に帰属させる記述はなく、月齢が進むにつれて自然に落ち着いていくケースがほとんどです。
夜泣きで消耗しないための現実的な考え方
対策というより、消耗を減らすための「考え方の整理」が先に必要です。
夜泣きに正面から向き合い、「泣き止ませなければ」と思うほど、親の疲弊が深まります。深夜2時に抱っこしながら「もう限界」と感じることは、弱さではなく、睡眠不足の状態にある人間の当然の反応です。厚生労働省の「健やか親子21」調査でも、乳幼児を抱える母親の睡眠不足と育児不安の相関が報告されています。
わたしが実際にやってみて楽になったのは、「夜泣き対応を夫と時間帯で分担する」ことでした。21時〜2時をわたし、2時〜7時を夫、という分け方にしたとき、どちらも5時間のまとまった睡眠を確保できました。夜泣きの回数は変わらなくても、連続して眠れる時間があるだけで、翌日の消耗度が全然違います。
ワンオペの状況でそれが難しい場合は、昼寝の確保を最優先にしてください。赤ちゃんが寝ているあいだに家事を済ませたくなる気持ちはよく分かりますが、家事の優先順位を下げて横になる選択肢を持つことが、夜泣き期間を乗り越えるための現実的な手段です。
夜泣き期に消耗を減らすポイント
- 夜泣きの原因を「親の対処ミス」に帰属させない(睡眠サイクルの未成熟さが主因)
- 深夜対応を時間帯で分担し、まとまった睡眠を確保する
- 昼寝中の家事より、親の休息を優先できる日をつくる
- 改善しない場合は、かかりつけの小児科に相談する(病気や耳の痛みなど身体的要因の除外確認)
離乳食は「手作りが正解」ではない
離乳食について、もっとも大きな誤解のひとつが「手作りでないといけない」という思い込みです。
結論から書きます。市販のベビーフードは、栄養面で問題ありません。日本ベビーフード協議会に加盟しているメーカー(キユーピー、和光堂など)の製品は、月齢に合わせた固さ・味付け・栄養基準を満たして製造されており、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」でも「市販の離乳食を利用することは差し支えない」と明記されています(2019年改定版、p.40)。
手作りにこだわりたい気持ちは分かります。でも、夜泣きで睡眠を削られている状態で、毎食おかゆをすりつぶして野菜を裏ごしする余裕がなければ、ベビーフードに頼っていい。これは「手抜き」ではなく、持続可能な育児の選択です。
離乳食で本当に気をつけてほしいのは別のことです。食材の形態(固さ)と進め方の順序です。生後5〜6ヶ月の離乳初期は10倍がゆから始め、7〜8ヶ月の離乳中期で舌でつぶせる固さのものへ、9〜11ヶ月の離乳後期でさらに固形に近づけていく、という段階を飛ばさないことが窒息・誤嚥リスクの管理として重要です。この「固さの段階」だけは、便利さよりも月齢に合わせた調整を意識してください。
「食べない」を責めない、進め方を変えてみる
離乳食をあげ始めてしばらく経つと、「全然食べない」「口から出す」「泣く」という壁にぶつかることがあります。
これも、子どもに問題があるわけではありません。離乳食初期は、食べることそのものに慣れていく時期です。口に入れたものを舌で押し出す「哺乳反射」は、生後4〜5ヶ月ごろまで残っていることがあり、離乳食の開始直後に口から出す行動は反射的なもので、「嫌い」のサインとは限りません。
食べる量にも、個人差が大きくあります。厚生労働省の離乳食ガイドでは「離乳食の量は目安であり、子どもの食欲に応じて調整する」とされており、他の子どもと比較して焦る必要はありません。
わたしが「これだけは続けてよかった」と感じているのは、食べなかった日に責めなかったことです。「今日は2口食べた」「口の中で5秒だけ保ってた」を「よかった」と記録する日があった。量ではなく、食卓に座る経験を積み重ねていくことで、食べる意欲は後から育ってきます。
補足
離乳食の開始時期の目安は「生後5〜6ヶ月ごろ」とされています(厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2019年改定版)。ただし早産だった場合や、体重・発達の遅れがある場合は、修正月齢をもとにかかりつけ医に相談してから始めるとよいです。
※本記事は2026-06-03時点の情報に基づきます。制度・サービスは変更されることがあります。
育児に正解はありません。本記事の体験は一例で、お子さんやご家庭の状況に合わせて参考にしてください。
しんどかった時期を振り返って
夜泣きが落ち着いてきたのは、1歳を過ぎてからでした。
その間にやって「よかった」と思うことと、「あれは必要なかった」と思うことの両方があります。よかったのは、夜の対応を分担したこと、ベビーフードに頼ることにした日を決めたこと。必要なかったのは、「もっとうまくやれたはず」という反省を毎晩していたことです。
まとめると、次の3点が特に手元に残りました。
- 夜泣きは月齢による発達の過程として起きることが多く、親の対応の良し悪しだけで決まるものではない
- 離乳食は市販のベビーフードを使っていい。固さの段階を守ることの方が、手作りかどうかより重要
- 「食べなかった」より「食卓に座った」を積み上げる視点が、長い目で見ると子どもの食経験になる
睡眠が削られながら、離乳食の本を見ながら、「これでいいのか」と思い続けた時期は終わります。今いる場所が、いちばん大変なところであることが多い。それだけでも覚えていてもらえたら、と思います。
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