絵本を読まない子が、自分から本を開くまで
本棚にきれいに並んだ絵本。買ったときは喜んでいたのに、今はほとんど触らない。「読書好きな子になってほしい」と願うほど、開かない本棚を見てため息が出る。そんな気持ち、覚えがある人も多いはずです。
読書はいいものだとわかっているからこそ、無理に読ませようとしてしまう。でも、押せば押すほど子どもは離れていく。その悩みにどう向き合ったかを書きます。
結論から言うとね、本好きは「読ませよう」とするほど遠ざかります。本が生活の近くにある環境を作る方が、ずっと近道なんです。
結論
子どもが本を読まないとき、量や正しさを求めるのは逆効果になりがちです。読み聞かせを楽しい時間として続ける、本がすぐ手に取れる場所に置く、子どもが選んだ本を否定しない。この3つで、自分から開く日が少しずつ近づきます。
「読ませよう」とするほど離れる理由
まず知っておきたいのは、読書を勉強の延長にした瞬間、子どもは身構えるということです。「ためになるから読みなさい」は、楽しみを義務に変えてしまいます。
大人でも、「これを読むべき」と言われた本は手が伸びにくいものです。子どもならなおさら、やらされる読書は楽しくありません。
もう一つ、親が「もっと長い本を」「もっと難しい本を」と背伸びを求めると、子どもは自分のペースを否定された気持ちになります。今の段階を認めてもらえないと、本そのものが嫌になります。
うちの上の子も、わたしが「字の多い本を読んでほしい」と焦っていた時期は、まったく本に近づきませんでした。後から思えば、わたしの期待が重荷になっていたんですね。
力むのをやめて、ただ楽しい時間として本に触れる。そこに立ち返ってから、少しずつ変化が出てきました。
読み聞かせを、成果でなく時間として続ける
いちばん効いたのは、読み聞かせを「賢くするため」ではなく「一緒に過ごす時間」として続けたことです。目的を変えただけで、続けやすさが変わりました。
読み聞かせには言葉や想像力を育てる効果があるとされますが(出典: 文部科学省 子どもの読書活動に関する資料)、効果を狙いすぎると逆に楽しめなくなります。だから、うちでは効果のことは一旦忘れることにしました。
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Step 1: 寝る前の習慣に組み込む
寝る前の数分を読み聞かせの時間にします。短くていいので、毎日同じ場面に置くと続けやすくなります。
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Step 2: 同じ本を何度でも読む
子どもが「また同じの」と言っても付き合います。繰り返しは安心と楽しさの源になります。
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Step 3: 読んだ後に感想を求めない
「どう思った?」とテストのように聞かないことです。楽しかった気持ちだけ残せば十分です。
うちでは、子どもが同じ絵本を何十回もリクエストする時期がありました。最初は「また?」と思いましたが、付き合ううちに、それが本との信頼関係を作る時間だったと気づきました。
読み聞かせは、上手に読む必要もありません。多少つっかえても、声に親しみがあれば、子どもにとっては特別な時間になるんですね。
本を生活の近くに置く
もう一つ大きかったのが、本の置き場所を変えたことです。立派な本棚にしまうより、手の届く近くに転がしておく方が手に取られます。
この記事のポイント
- 読書を義務にすると子どもは離れる
- 読み聞かせは成果でなく一緒の時間として続ける
- 本をリビングなど手の届く場所に置く
- 子どもが選んだ本を否定しない
うちではリビングのソファ横に小さなかごを置いて、そこに数冊入れておくようにしました。テレビを見ない手持ち無沙汰な時間に、子どもが自然と手を伸ばすようになったんです。
図書館も味方になりました。たくさんの中から自分で選ぶ体験は、家にある本を読むのとはまた違う楽しさがあります。借りた本は期限があるので、それも軽い後押しになりました。
子どもが選んだ本を否定しない
ここで我慢が必要なのが、子どもの選ぶ本に口を出さないことです。図鑑ばかり、同じシリーズばかり、字の少ない本ばかりでも、まずは認めます。
うちの子は一時期、虫の図鑑しか開きませんでした。「物語も読んでほしい」と言いたくなりましたが、ぐっとこらえました。
結果として、本を開くこと自体が習慣になり、しばらくして物語にも手が伸びるようになりました。入り口は何でもよかった、と今は思います。子どもが好きで開いているなら、それが正解なんですね。
親が本を読む姿を見せる
もう一つ効果を感じたのが、親自身が本を読む姿を見せることでした。子どもは「読みなさい」という言葉より、親の行動をよく見ています。
うちでは、子どもが遊んでいる横で、わたしが文庫本を開く時間を作るようにしました。特別なことではなく、ただ自分が楽しそうに読んでいるだけです。
すると子どもが「ママ何読んでるの?」と興味を持つ場面が増えました。本が日常にあって、大人も楽しんでいる。その空気そのものが、何よりの読書への誘いになるんですね。
スマホばかり見ている親に「本を読みなさい」と言われても、子どもには響きません。完璧でなくていいので、本を開く姿をときどき見せるだけで十分でした。
読書好きの家庭に共通するのは、立派な本棚より、本が生活に溶け込んでいることだと感じます。子どもは、家にある空気を吸って育つんですね。
焦らない、比べない
最後に、いちばん大事だと感じたことを書きます。よその子と比べないことです。
「あの子はもう分厚い本を読んでいる」と聞くと、つい焦ります。でも読書のペースは、身長の伸び方と同じで子どもによってまるで違います。
育児に正解はありません。本記事の体験は一例で、お子さんやご家庭の状況に合わせて参考にしてください。
うちの場合も、本好きになるまでには何年もかかりました。焦って急かしていたら、たぶん逆効果だったと感じます。
本との出会いに、決まった時期はありません。生活の近くに本があって、楽しい記憶が積み重なっていけば、その子なりのタイミングで開く日が来ます。それを待つ余裕を持てるかどうかが、親に問われているのかもしれません。
読書を「ごほうび」や「罰」にしない
最後に一つ、避けたかったことを書いておきます。読書を、何かの交換条件にしないことです。
「本を読んだらゲームしていい」のように、読書を義務やノルマにすると、本が乗り越えるべき関門になってしまいます。逆に「本ばかり読んで」と取り上げるのも、読書を罰のように扱うことになります。
うちでは、読書を生活の中の自然な楽しみの一つとして扱うよう心がけました。ごはんを食べるのと同じくらい、あたりまえに本がそこにある。そんな位置づけが理想だと感じます。
本を特別なものにしすぎると、かえって構えが生まれます。歯磨きや入浴のように、力まず日常に溶け込ませることが、長い目で見ていちばん効いたんですね。
読む量や速さは、後からいくらでも伸びていきます。今はただ、本のそばにいる時間を心地よいものにしておく。それだけで十分だと、今のわたしは思っています。
まとめ
- 読書を義務にすると子どもは離れる
- 読み聞かせは成果でなく一緒の時間として続ける
- 本を手の届く場所に置き、選ぶ本を否定しない
- よその子と比べず、その子のタイミングを待つ
うちの本棚も、長いあいだ静かなままでした。それでも、寝る前の数分を続けたことが、いつのまにか実を結んでいました。また今夜も、一冊読みます。
※本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。制度・サービスは変更されることがあります。
監修: Shimaken
Photo by Annie Spratt on Unsplash